2017年8月8日火曜日

熟成肉ブームってまだあり?

一時期、もの凄く注目された熟成肉。
 
いかにも美味しそうな宣伝文句が飛び交い、専門店ができても、
これが熟成肉の美味さか・・と、わかりやすく味わえる店は少ない。
 
何故なら熟成肉の定義がしっかりしてないからで、
極端な話、肉を仕入れてから冷蔵庫に数日放置して
それを熟成肉と言っても間違いではない・・からだ(^_^;
 
 
「この前、生け簀にトラフグが泳ぐ店で河豚食べたけど、
 随分安かったよ」
 
「美味しかったですか?」
 
「う〜ん、刺身はなんか白身魚を食べただけな感じだし、
 河豚チリも普通な感じだった」
 
「実は私も気になって食べてきたんですけど、
 あれならウチのお客さんは流れないって確信しましたよ」
 
「どうでした?」
 
「あそこね、熟成してないんですよ。
 あれなら安く出す事はできる。
 だけど河豚って、ちゃんと熟成しないと旨味が弱いんです。
 で、状態見ながらちゃんと熟成するのに時間がかかるし
 その分、高くなるんです。」
 
「熟成しないとダメですか?」
 
「何食べたかわからなかったでしょ?
 淡泊な白身魚や烏賊とかは、ちゃんと熟成した物と大きな差が出るんですよ」
 
「烏賊って、獲りたての透明なヤツが美味しいんじゃない?」
 
「ウチ、ちゃんと熟成した白い烏賊しか出さないでしょ?」
 
「そうですね」
 
「新鮮な魚が美味しいと思うのは、醤油のおかげ。
 新鮮さを目で楽しんで、醤油で味が誤魔化されて食べてるんですよ」
 
 
行きつけの鮨屋で聞かされた熟成の話。
それが肉にも当てはまるかどうか・・だけど、
熟成すると美味しくなるメカニズムは同じ事。
 
発酵(腐敗?)させずに、肉が持つ酵素によって
タンパク質が分解してアミノ酸となる事で美味しくなる。
 
だからタンパク質をどこまで熟成するか、
発酵させないで熟成するかが難しくて、
河豚であれ牛肉であれ、専門知識を持って扱わないとダメで、
だからこその専門店なのだと思う。
 
で・・・
こんな前置きをするのは、
広島で熟成ステーキ専門店に出会ったから。
 
正直に言う。
 
熟成ステーキが美味いと思ったのは
サンフランシスコで23日間ドライエージングしたアンガスビーフを食べた時と、
伊勢佐木町で牛タンの熟成肉を食べた時だけ。
普通のステーキよりマシ、と思えたのは馬車道で45日間エージングした
サーロインを食べた時だけで、専門店と言われる店で食べたものに
特別な美味しさを感じた事は無い。
 
本当は、肉屋がやってるステーキ屋で食べたかったけど、
今日がたまたま定休日で、肉の頭になってた自分に
熟成ステーキの文字が飛び込んだから止まらなかった(爆)
 
と言う事で、カウンターのみのその店に入って・・・
 
 
  
ヒレ200グラム(3200円)
 
 
あ・・・(T.T)
 
焼き方を尋ねてくれないから諦めてただけど
グリルで焼いたからって事は無いだろうけど
ヒレだからって事なのかも知れないけど
ただの火の通り過ぎた、ヒレステーキじゃん。
 
しかも200グラムを感じないボリューム。
 
え〜い
リミッター解除だから、サーロインも食ってやる。
 
 
  
サーロイン200グラム(2400円)
 
あ・・・
コッチはちょっとマトモ。
 
肉の美味さはそこそこあるけど、
ヒレがウェルに近い焼き方(ノーピンク)だったのに
このサーロインはミディアムウェルな焼き方(ピンクセンター)で、
脂の旨味も肉の旨味も、そこそこある感じ。
 
だけど、レモンの下は脂身でステーキの1/5くらいを占め、
こいつもまた200グラムというサイズを感じられなかった。
 
おかしいなぁ・・
いつも食べるステーキは、200グラムも食べたらかなりの迫力だし、
250グラムだと、他には野菜くらいしか食べたくない感じになる。
 
なのに、コイツらをペロッと食べても、
何だかさみしい感じになってしまった。
 

これってつまり、
この価格の熟成肉ステーキを食べた事が原因だよね。

脂が少ない肉を熟成によって食べやすくした物だから、
200グラムを食べても、大した量に感じられないのだろう。
 
 
元々ドライエージングは、
固い肉を柔らかく食べるための工夫から始まったと聞いているし、
日本においては経産牛を美味しく食べるために研究した人もいて、
徐々にだけどシェアを増やしてきた。
 
だけど、美味さを追求する上では、
どんな肉をどんな温度や湿度で何日熟成すべきか、
という経験値はまだまだ低く、
脂至上主義な日本において良い肉(脂肪過多?)は
エイジングに回して歩留まりを悪くし高価格となったら、
庶民の口には入らないのも、道理だ。
 
だったら、
敢えて熟成肉を食べるより良い肉はそのまま食べた方が、
客から見たらコストパフォーマンスが良い、
という事になってしまう。
 
今日は正に
それを感じてしまったって事らしい(^_^;
 
 
いつも食べるA3ステーキ150グラムの方が
はるかに重く感じるのは、トリミングの仕方と脂の量、そして焼き方か。
 
ここのステーキは、わかっていて食べれば楽しいし、
骨付きステーキ(Tボーン?:700グラムから)だって
余裕で食べられるはず。
 

と、言う事で、
飲み直しにでかける事にします。
 
ごちそうさまでした。

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