2017年8月11日金曜日

牛かつ

たぶん最初に食べたのは、
広島の飲み屋だった。
 
ガイドブックに牛カツの事が書いてあって出かけて、
さんざん迷ったあげくに出会ったその店は、
カウンター形式だけど居酒屋な店。
 
安っぽいトイレ芳香剤の匂いが漂う
決して上品ではない設えにヤバさを感じつつ、
牛ヒレカツをオーダーした。
 
高温の油で75秒揚げるというそのカツは、
衣はきつね色でカリッと食感だったが、肉には適度に火が通り、
抜群のミディアムレアになっていて、トイレの芳香剤の匂いを忘れさせる力があった。
 
その体験をしたのは今から20年も前のこと。
その味わいを忘れられなくて、横浜や東京で似たような物を探したけど、
ステーキで食べても美味しそうなヒレを、わざわざカツにするような店は
とうとう見つからなかった。
 
 
「最近、牛カツって流行ってるよな?」
 
「確かに。
 でも揚げ物禁止にしてるんで、俺、食べてない。」
 
「牛フリークにしてちゃぁ、珍しいじゃん?」
 
「いや、たぶん、俺が求める牛カツってまず無いので、
 興味が湧かないんだよ」
 
「そう言えば、前に京都で牛カツ食べてたね?」
 
「『はふう』ね。美味しかったけど、ああいうテイストだと想像を超えないね。
 ああいうんじゃなくて、中はレアでジューシーな物を食べたいのさ。
 でも、それは夢のまた夢なので、牛カツは諦めてる。」
 
「あれ〜、知らないんだ?」
 
「?」
 
「最近流行ってる牛カツって、以前お前が言ってた物に近そうだよ?」
 
「えぇ?」
 
「外はカリッとした衣で、中は思いっきりレアなんだってさ。
 興味あるだろ?」
 
 
そんな誘いを受けたら、食べたくなる。
 
丁度、プリンターのインクを買ったり、
ぶっ壊れたドライヤーを買ったりしたいので出かける予定があったから、
久々に肉好きな友人とこんなのを食べる事にした。
 
 

「黒毛牛カツ京玉善」130グラム 1,980円
 
出汁醤油、塩山椒、ソース、カレーソース、京玉(温泉玉子?)とタレが並び、
そこに赤だしもついたセット。
 
牛肉はコストをケチると泣きを見るから、
ベーシックな牛ロースカツ膳(1,280円)より上のランクをオーダーした。
 
まぁ、こんな風景を見た瞬間、
何とも言えない空気が流れたんだけど、まずは食べてみる。
 
 

 
「どう?」
 
「こんな感じじゃないけど、このコストならこんな物だね」
 
「広島のって、そんなに美味かった?」
 
「思い出は美化されるからねぇ」
 
 
脂の量が少なめで、
カツの衣は肉から離れ気味。
 
60秒で揚げるという調理法を否定するつもりは無いけど、
もうちょっと加熱した方が、中まで暖かくなってジューシーになるようにも思うけど、
そもそもこの肉に、ジューシーさを求めてはいけないようにも思う。
 
これで黒毛和牛?って思ってメニュー見たら黒毛牛になってる(爆)
 
USかオージーか国産牛かはわからないけど、
メニューに明記されていないなら、仕入れ価格で換わる事を想定か?
 
でも、ご飯セットでの価格を考えたら、まぁまぁ良い線。
チェーン店でこれ以上を望むのは酷というものかも。
 
 
「ソースや山葵、山椒とかカレーとかで目先が変わるし、
 ご飯も無料でお代わりできるから、人気があるんだな」
 
「山椒と塩で食べるのが一番肉の味がするけど、
 カレーソースは蕎麦屋のカレーで、カツのソースには必要ないね」
 
「これじゃぁ、やっぱりリベンジにならないなぁ」
 
「返り討ちにあった件ね。
もっと美味い肉の方が良かった?」
 
「流行の牛カツって物を味わいたかったので、問題無し」
 
 
とは言ったものの・・・
 
やっぱり美味い牛肉を食べたい気持ちは大きくなるばかり。
マジ、リベンジに行くしかないのかもね(爆)
 
ごちそうさまでした。

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