2017年8月10日木曜日

白焼き

白焼きと言われたら、思い浮かぶのは鰻。
 
だけど、白焼きとは調理法の名前で、
何も付けずに直火焼きをする事なのだそうで。
 
脂を落として旨味を食材の中に閉じ込めるための手法で、
淡水魚の保存に活用されたとも言われている。
 
自分としては、
鰻の白焼きを頼んで山葵醤油で食べる事しか頭に無いけど、
違う魚で白焼きし、同じ様に食べる事も結構ある。
 
知ってる物だと、鰻とウナギ目に分類される魚として穴子と鱧は、
流通する地域で白焼きを楽しむ事が多い。
 
そう、広島では
穴子の白焼きが飲み屋にあったりするのです(^_^)
 
去年は穴子飯を楽しんだけど、それは言わば穴子の蒲焼き重。
関西の焼き方なのか蒸さない焼き方だったのか、結構歯ごたえがあって楽しかった。
 
で、白焼きがある言われてオーダーしたら、
こんな感じの物が。
 
 
  
 
お〜
これ、楽しい!(^_^)
 
鰻重に近い穴子飯があるなら、
白焼きも同じ様に楽しめる・・と想像はしていたけど、
ここまでとは思わなかった。
 
勿論、山葵醤油で楽しむのだけど、
歯ごたえが楽しい上に穴子の味が濃い感じがあって、
醤油もほんの少しで良いと思った。
 
で、日本酒に合うのだよね(^o^)
 
 
ここで呑んだのは、
「瑞冠」と「宝剣」
 
どちらも広島の酒だったけど勧められるだけの事はあって、
どちらも魅力的で、食事と共に楽しむにも適していた。
 
考えてみれば、日本酒も今やライスワインの中で
主な物として扱われるワールドワイドな酒になった。
 
昔ながらの日本酒はドンドン精錬されて、
日本酒が持つ本来の美味さが引き立つ作り方が主流になって、
そこに、個性が際立つ、ワインで言えばシャトーのようなメーカーが増え、
地酒の質の向上は著しい。

「加茂鶴」や「雨後の月」、「富久長」などは知ってて飲んでたけど、
三次市甲奴町の「瑞冠」と呉市の「宝剣」が、こんなにも魅力的だとは知らず、
この二つの酒に出会えただけでも、来た甲斐があったと思った。
 

日本の酒造メーカーは、押し並べて評価が高い。

効率化より高品質化に向かう方向性は、
日本文化の根底にあるように感じているし、
そもそも、そういう気質の人達がこの国を象ってきたのだろう。
 
それだけではなく、
大手メーカーがブレイクスルーした技法を公開するなど
業界全体で質を上げる努力がされていると聞く。
 
例えば甲州ワイン。

葡萄の甲州種がDNA鑑定でワインに向く種(ヴィティス・ヴィニフェラ種)
である事がわかったのが2004年。
 
それに遡ること10年、メルシャンがシュール・リーという手法を活用した甲州ワインを
リリースし、その醸造方法を勝沼のワインメーカーに公開したのが1985年の事だった。
 
それを受けて1987年に勝沼ワイナリークラブが発足し、
シュール・リーと製法が一般化した。
 
ただ、欧米はまだその頃、甲州ワインの可能性に気付いてもいない。

あの、ロバートパーカーJrが評価したのは2005年。
つまり甲州ワインは紛い物扱いされていて、
ワイン用に葡萄で作られた本物として認識されたのは、
DNA鑑定後だったことは想像に難くない。

 
自分の仕事でもそうだけど、客に対するサービスとは別に同業他社と共に、
業界全体の質向上を考えないとダメな時代になってきた。

時には、競争相手となる他社を出し抜いて自社だけが良くなっても、
業界全体が落ち込んでしまったら、生き残れない。
 
そんな井の中の蛙でも、
井戸の水が涸れない努力が必要な事は、理解できる。

ただ、その水の魅力も上げていかないと、
井戸の利用価値が無くなってユーザーが離れ、
廃れてしまう事まではなかなかたどり着けないのだ。
 
 
過去を忘れて今を生きていくのは楽だけど、
過去の積み重ねの上に今がある事を理解しないと、
未来の為の土台は築けない。
 
毎年、この時期に向き合う過去は、
未来のために必要な存在であり、
同時に今を感謝する意味でもある。

そんな事を思う広島で、
素敵な料理と酒に出会えて、幸せな夜だった。
 
ごちそうさまでした。

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