2018年12月26日水曜日

花潮

昔、汐汲坂に一時期よく通ってた蕎麦屋があった。

そこの蕎麦屋で更科蕎麦の美味さを教えられ、 
蕎麦の奥深さを知ってからというもの、様々な店を食べ歩くことになる。
 
ただ、好調だったその店は徐々に勢いを失った。
 
ある時、使っている水が匂う事があって、浄水器のフィルターが死んでる?
と話してみたら、「文句つけるなよ」という顔を見せた。
 
ビジネスパートナーと言うか心の師を失った事も影響していたらしく、
仕事に対する魅力を失ってしまったのかも知れない。
 
そしてその店は石川町へ移転したのだが、ある程度期間をおいてその店に行ったら、
彼は既に人気にあぐらをかくダメな店主になっていて
客席にどっかり座って新聞を読み、蕎麦は弟子が作っていて心ここにあらずな態度だった。
 
私の顔を見ても思い出す事さえなかった、と言うか
あまりに客っぽい姿で座ってたので店主と気付くのに時間がかったのだけど。
  
当然、味は落ちていて、サービスも最低。
これではそう長くないのかな・・と思っていたら、
家庭的なトラブルもあって店を畳んでしまったと聞く。
 
そんないわく付きな店を居抜きで手に入れ、
蕎麦屋として営業を始めた店がかなり美味しいという噂は聞いていた。
 
ここのところ、新しい蕎麦屋開発をしてはがっかりする事が多かったけど、
割と蕎麦の味にうるさいヤツが美味しいと言っていたから、一回行ってみたかった。
 
で・・・
石川町の医者に薬をもらいに行った帰り、
ふと思い出して行ってみることにした。
 
 

 
シーズンだよね、年越そばのノボリまで立ってて、
入口には新そばとある。
 
だいたい初見の場合、店構えでその店のスタイルを想像するのだけど、
この店の敷居は低そうに見えた。
 
 
「いらっしゃいませ〜」
 
 
入った時刻が17時過ぎなので、客は私だけ。
 
声をかけてくれた女性は、オススメメニューを書いたボードを壁から外して
持ってきてくれたり、とにこやかな対応で気持ち良いアテンドだった。

ただ、あまり酒には詳しくないようで、おすすめの酒の産地がわからない状況。
ボードにある酒はあまり聞いた事がないブランドだったので
産地と酒米を聞いて判断したかったけど諦めた。

初回のオーダーは自分的なルールに従ってする。

食べる蕎麦はせいろ、飲む場合はオススメの酒と
焼き味噌(もしくは蕎麦味噌)、焼き海苔、
後は玉子料理か焼き物、と決めている。
 
今日は昼抜きだったので、ちょっと多めに食べる気になってて、
焼き味噌と玉子料理に加えて焼き物もオーダーした。
 
 

 
「ふわふわ玉子」とあったこいつ。
 
どんな物かとオーダーしたら、泡立てた卵をそばつゆの上にフロートさせ
加熱してフワフワな食感のまま火を通したものだった。
 
メレンゲに近い食感で、出汁に浮かべているからか
玉子自体には味があまりついてなくて、普通の玉子焼きの方が好みだなぁ・・
と感じた。
 
 

 
鴨焼きは、表面は綺麗に加熱されているけど、
中は結構なレアな焼き上がり。
 
悪くないけど柔らかすぎで、脂も強いので・・
酒を追加(爆)
 
で、客が2組ほど入ってきたので、
本来の目的でもある蕎麦をオーダーした。
 
 
「今日は福井の在来種と北海道の早生があります」
 
「両方食べたいから2種盛りで」
 
 
ちょっと嫌な予感がした。
メニューの蕎麦が戸部の蕎麦屋のイメージに近かったのだ。
 
で・・・
 
 

 
あ、ちゃんとしてるじゃん(^_^)
 
お?
お〜〜
 
確かに美味しいかも。
 
山葵を本山葵にしたり辛味大根を別途頼めたりするので
こういうちゃんとした蕎麦なら辛味大根が良いね。
 
 

  
2種の差はそう大きくなく、
香りや甘みの違いは食べ比べないとわかりにくいくらいの差だけど、
ちょっと高めな設定でもこれなら文句は無いって感じ。
 
汁は標準的な味わいで、ちゃんと真面目に作りました、という感じ。
ただ、蕎麦前は好き嫌いが出そうな料理だと思うし、
酒の拘りもあまり強くないけど、上手い揃え方がされているといったところ。
 
ここは、蕎麦を手繰る事をメインに考えて
飲む事はあまり考えない方がよい店なのかも知れないね。
 
飲んだ酒が生酒だったので、ちょっと回りました。
 
ごちそうさまでした。

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