2018年9月17日月曜日

シェフズバトル「イルネッソvsアルティザン」

懇意にしている店に共通する事は、
オーナーなりシェフなりの年齢が10歳程度下、という事。
 
歳をとれば当然のことなんだけど、
その年齢が割と近い事に気付いていた。 
 
味覚は親の味付けを覚え、
社会に出てその社会の味付けに影響を受け、
パートナーと共有する味を作り上げていく。
 
そしてそれは、時代の流れによって変化するので、
今、私が好む味付けで出してくれる店のシェフ達は
似た様な年代であってもおかしくないのだろうね。
 
そんな事を感じさせてくれたシェフ2人が実は飲み友達で、
酒飲みながら料理哲学を交わしていて、酔っ払った勢いで
シェフバトルをやろう・・という話になっていた。
 
 

 
いやいや、どっちも知り合いじゃんねぇ・・
と思いつつも、元町のシェフの店は
スタート時刻が限定されてから行けてない。
(今の仕事じゃ無理な話)
 
だから、久々に彼の料理も食べたいなぁ・・と思って、
そんな企画に乗ってみる事にした。
 
 

 
元町のイルネッソ・横山シェフと日本大通りのアルティザン・佐藤シェフが、
イタリアン対フレンチのガチな勝負を開催する、との話がFBに載ってから、
あっという間に席が埋まったと言うから、両者の人気は高いのだろう。
 
見れば、地元では有名な料理店のトップとか、ワインバーのマスターとか、
市場関係者とか、とにかくオイオイ?なメンバーが席に座っている。
 
イルネッソはシェフとフロアスタッフが参加し、各シェフには応援スタッフが
ついているようだ。
 
興味があったのは、どんな方法でバトルするか・・という事だったが、
食材を決めて2人がそれぞれの料理を出し、その都度採点したものを
最後に集計して発表する、というスタイルだった。
 
  

 
じゃんけんで先攻後攻を決めてスタート
 
最初の食材は、サーモンだった。

サーモンというテーマ食材がある以上、
サーモンをどう食べさせるか?
という観点で料理を食べてみる事にした。
 
ますは横山シェフの一皿目。
「信州サーモンのマリネ 人参のピューレとサラダ、アロマオイル」
 
 
   
横山シェフの料理は、相変わらずの繊細さが見てとれる。
 
素直にサーモンを引き立てる料理で、
コースの最初を飾るものとして考えられていて、
穏やかな中に、繊細さがある優しい味わいだった。

二皿目として佐藤シェフが用意したのは・・・

「新食感!とろけるスモークサーモンとホンビノス貝と玉ねぎのタルト 
 冷たいクラムチャウダーのエスプーマとキャビア」 
 
 
    
貝と玉ねぎという濃い味わいをベースに加えて
クラムチャウダーのエスプーマ・・と言うよりクリームに近いソースが、
ガツンと来る濃い味わいを見せている。
 
タルトのカリッとした食感のハーモニーが強く出て、
そこにキャビアという贅沢な取り合わせ。

これ一皿目じゃないよね?
って思えるほどの強さがある、彼らしい一皿に仕上がっている。
 
料理って、本当に性格が出るよね。

2人の性格がそのまま出たような甲乙付けがたい美味しさの競演は
これから先の料理を期待させてくれた。
 
私の採点は、一皿目の料理という事と、
サーモンというテーマ食材をどう見せたか?
という2点から横山シェフの料理に点を入れた。
 
ただ、この時点で料理の順番も構成も、
バトルと言う名の2人で作り上げる最高のコース料理、
という仕掛けがあるように感じたのが正直なところ。
 
ひょっとしたら、先攻後攻も予め決めておいたよね?
って感じの流れがこの2皿にあったからだ。
 
 
第2ラウンドは茄子。
 
横山シェフが用意したのは
「焼きナス北海道産リコッタチーズ コンポートしたイチジク、パルマ産生ハム、
 クロッカンテ」
 

 
横山シェフらしい料理。
見事です。

料理は見た目と味わい、食感の楽しさがあってこそ、という事を
この料理を食べてあらためて感じさせられた。
 
ナスの柔らかな食感に生ハムの少し粘る食感がのり、
クロッカンテのカリッとした食感がリズムを刻む。
 
それが口の中で合唱する楽しさは
彼が作る料理の中に必ず存在するものなのだ。

ナスの美味しさと個性を殺さないセットは、見事としか言いようがない。

これに対して佐藤シェフは、
「焼きナスと秋刀魚、オマール海老のコンソメとパスティスの香り
 ハーブとパルミジャーノのサラダ」
 
 
    
メニューを見た時は、同じ焼きナスか・・と思ったが、
これははっきり言ってナス料理では無かった。
 
そう、秋刀魚の個性が強く、そして美味しいから
ナスが消されてしまう。
 
これはまさに秋刀魚を美味しく食べるためにナスがある、という感じ。

個性が強いオマール海老は見事に気配を消していたにしても・・・・
 
でも、めちゃくちゃ美味しい! 
 
佐藤シェフの料理は何回か食べてきているけど、
魚介類の料理が秀逸だと感じていて、その腕前が出てしまった料理だと思う。
 
採点は、前回と同じく、
テーマ食材を美味しく食べさせるという意味から、
横山シェフに点を入れた。
 
ねぇ、やっぱり2人で、作戦練ってたよね?

ここまでで既に4皿食べているのに、
その4皿の流れに気持ちの良いリズムがあって、
味付けも見た目も楽しいコースとしてできあがっちゃってるじゃん?
ここで終わっても悔いが無いレベルに感じるよ?

前菜2皿から野菜の料理になって、
しかも同じ野菜を使いながら魚料理にシフトしてる。
そして次に肉料理が来るって・・・・(^_^;
 
そう、第3ラウンドのテーマ食材は鶏!

横山シェフが用意した料理は
「総州古白鶏とブラウンマッシュルームのラグー 
 ジャガイモのピューレを詰めた手打ちパスタ”アニョロッティ”」
 

 
これね、確かに鶏料理だけど、パスタ料理・・だよね?
 
イタリアンのシェフとして、パスタは絶対出したいって思ってたと思うけど
この料理については、パスタの美味さが逆に鶏の存在を薄くしてしまったよ?
  
佐藤シェフは
「ホロホロ鶏のローストとフランス産天然キノコのソース
 チョー滑らかなジャガイモピュレのシュークリーム仕立て」
 

 
今までの2人の料理に対するスタンスが逆転したかのように、
この料理は鶏がしっかり前に出ている。

そしてシュークリーム仕立て?
という設定で合わされているグジェールはカリッとするくらいに固く、
その固さが鶏の食感とバランスされていて、
やっぱり肉が好きなんだな・・と思わせる楽しい一皿になっていた。
 
採点は勿論、佐藤シェフへ。

 
さて最終ラウンドのテーマ食材は柿
 
デザートコースとなるワケで
横山シェフの一皿はコレ
「ほうじ茶のパンナコッタ、柿のマリネ バルサミコのクレーマ」
 

 
ほうじ茶です。
柿というよりもほうじ茶です。
 
でも、ちゃんと柿の味がしていて、
横山シェフの繊細さが現れた一皿になっている。
 
続いて佐藤シェフ
「柿のサヴァラン イチジクの生地と23年物のラム酒で」
 

  
あ・・・
これ、ずるいでしょ?
 
23年物のラムが美味し過ぎ&存在感ありすぎ(爆)
 
美味しいけど、柿はどこに行った?な感ありですわ。
 

採点は横山シェフにしたけど、
つくづく料理って、作る人が出るものだなぁ・・と。


 
それにしても、シェフ2人による1つのコースという設定は、
バトルというスパイスで盛り上げる事もあってか、実に楽しい。

しかも、それぞれが工夫を凝らして練り上げた料理を
スタッフ総勢で34名分を作り上げていくのは、見事でした。

そしてその様子をYouTubeに生中継って
まさに今時のリアルな料理ショーであり、
イベントとしても実に面白い仕掛けになっているのに、
感動すら覚えたのは事実。
 
既に、各テーブルから、「次はいつ?」
なんて声が漏れ出していて、
こんな食イベントが、横浜の頑張っているシェフ達をつなげていくなら
横浜の食が凄い!という流れにだってなるように思えた。

横浜には横浜にしかない独特な空気があって良い
と思うんだよね。

なんかちょっと
こんな企画に色々な人を巻き込みたいって
思うんだけどね。
 
え?
単に美味いもの食べたいだけだろうって??
 
そうだけど
それだけじゃないっすよ〜
 
横浜の料理の質の底上げができたら
日々食べる物も美味しくなるだろうなぁ・・・ってね。
 
ごちそうさまでした。
食べ過ぎました。
☆☆

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