クリスマスにイベント的な食事をしよう・・・
という気が無くなって、何年になるだろう。
家族と過ごす、というのが成熟した大人の行動のようだけど、
そんな日にはほぼ必ず仕事があったりするのが常。
だからクリスマスは、人が多くて歩きにくい日。
飲食店はぼったくり系のメニューなのに混んでいる日。
という認識ができあがってしまった(^_^;
でも今日はイブじゃないから・・と気にしていなかったら
あれあれあれ?
なんだよ〜
カップルだらけじゃんよ〜
飯食うとこはどこも満席じゃんよ〜〜
困るよ〜腹減ったよ〜洒落になんないよ〜ふざけんなよ〜〜
知らないよ〜むかつくよ〜邪魔だよ〜〜〜
はい、曜日感覚喪失故に
今日が土曜日だったという事に気付いていなかったのでした(T.T)
「席、開いてます?一人なんだけど・・」
「一人なら大丈夫です。お待ちしてます。」
「今日ってそんな日?」
「予約無しでいらっしゃるお客様いっぱいで・・・」
だよね〜ばかね〜なめてたよね〜♪
とか呟きつつ、例のステーキ屋に電話して、席を確保。
なるほど、店内はカップルだらけ。
いつもは誰も座らないカウンターのコーナーさえ
カップルが陣取っていた。
「商売繁盛!」
「ありがとうございます。」
店主に挨拶しつつ、どうにかクラフトビールをオーダーして、
いつものA3をオーダーしようと思ったのだが、
そこに聞き捨てならない単語が聞こえる。
「今日のヒレはシャトーブリアンです」
何?
今何と言った?
「え?マジ??ヒレ芯???」
「はい、ちょっと良い肉ですよ」
「じゃヒレを・・・」
もう、脊髄反射(爆)
「何グラムにします?」
「100・・・いや、150にする!」
この店、実は食材への拘りが半端じゃなくて、
ステーキ用の肉も焼き野菜に使う野菜も、なかなか売ってもらえない所から
手に入れてたりする。
特にヒレについては、チャンピオン牛を出した農家からの物で、
そこを前面に出したらヤバイ価格になるのは必至。
だから店主は、仲が良くなった常連にだけ、コソッと話してくれる感じなんだけど、
そんな彼が珍しくそんな部位名を漏らしたので・・・食うでしょ(^_^;
ちなみに、ちゃんとした和牛のシャトーブリアンのステーキは
100グラムで7000円前後から1万円オーバーなのが常識的な価格。
まして、チャンピオン牛をだす農家から手に入れたシャトーブリアンだったら
どんな価格になるのか、想像するのも恐ろしい。
そして・・・
「ヤバイ!」
「ヤバイ、頂きました〜」
表面だけはちょっときつめに焼いてあるけど、
あの厚みの肉がここまで締まったけど
肉の柔らかさと脂の滑らかさは、半端ないのだ。
でもA5サーロインの様に、口の中で消えていくような感じは無い。
そして、いつまでも肉の味が残るような後味・・・・
いやいや、美味いわ、マジ(^_^)
こうなると、もう、周りのカップルの馬鹿話も聞こえず、
至福の時間を過ごしていると・・・
「チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴーナがありますけど、グラスで出せますよ?」
「トスカーナ?」
「はい。ブルネロ・ディ・モンタルチーノの2011年です。」
店主はイタリアワインのソムリエと言うだけあって
グラスで出すイタリアワインは、コストパフォーマンスの良い物が多い。
チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴーナはトスカーナの偉大なメーカーに1つで、
モンタルチーノの南端にある畑が他の畑とは違う土壌となってて、
元々の持ち主だった貴族が死んだ時、耕作を担当していた爺さんが受け継いで、
今に至っているのだ・・と店主が説明してくれた。
着る物にしろ、食べ物にしろ、その背景にある物語が見えると、
その良さに深みが増す気がするし、クオリティの裏付けにもなる。
満席の店を回しながら、そんな話をしてくれる店主がいるから、
殆ど宣伝をしない、知る人ぞ知るわかりにくい店なのに満席になるのだろう。
店にたどり着く前の身の置き所の無い気分は、
最高のヒレと、グラスワインとしてはあり得ないレベルのワインで
すっかり霧散してしまった・・のは、言うまでもない。
明日のイブも明後日のクリスマスも、仕事。
その前に、特別なプレゼントをもらった気分で、店を後にした。
ごちそうさまでした。
☆☆
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2017年12月23日土曜日
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