2017年12月23日土曜日

シャトーブリアン

クリスマスにイベント的な食事をしよう・・・
という気が無くなって、何年になるだろう。
 
家族と過ごす、というのが成熟した大人の行動のようだけど、
そんな日にはほぼ必ず仕事があったりするのが常。
 
だからクリスマスは、人が多くて歩きにくい日。
飲食店はぼったくり系のメニューなのに混んでいる日。
という認識ができあがってしまった(^_^;

でも今日はイブじゃないから・・と気にしていなかったら
あれあれあれ?

なんだよ〜
カップルだらけじゃんよ〜
飯食うとこはどこも満席じゃんよ〜〜
困るよ〜腹減ったよ〜洒落になんないよ〜ふざけんなよ〜〜
知らないよ〜むかつくよ〜邪魔だよ〜〜〜
 
はい、曜日感覚喪失故に
今日が土曜日だったという事に気付いていなかったのでした(T.T)
 
 
 「席、開いてます?一人なんだけど・・」
 
 「一人なら大丈夫です。お待ちしてます。」
 
 「今日ってそんな日?」
 
 「予約無しでいらっしゃるお客様いっぱいで・・・」
 
 
だよね〜ばかね〜なめてたよね〜♪
とか呟きつつ、例のステーキ屋に電話して、席を確保。
 
なるほど、店内はカップルだらけ。
いつもは誰も座らないカウンターのコーナーさえ
カップルが陣取っていた。
 
 
 「商売繁盛!」
 
 「ありがとうございます。」
 
 
店主に挨拶しつつ、どうにかクラフトビールをオーダーして、
いつものA3をオーダーしようと思ったのだが、
そこに聞き捨てならない単語が聞こえる。
 
 
 「今日のヒレはシャトーブリアンです」
 
何?
今何と言った?
 
 「え?マジ??ヒレ芯???」
 
 「はい、ちょっと良い肉ですよ」
 
 「じゃヒレを・・・」
 
もう、脊髄反射(爆)
 
 「何グラムにします?」
 
 「100・・・いや、150にする!」
 
 
  
 
この店、実は食材への拘りが半端じゃなくて、
ステーキ用の肉も焼き野菜に使う野菜も、なかなか売ってもらえない所から
手に入れてたりする。
 
特にヒレについては、チャンピオン牛を出した農家からの物で、
そこを前面に出したらヤバイ価格になるのは必至。
 
だから店主は、仲が良くなった常連にだけ、コソッと話してくれる感じなんだけど、
そんな彼が珍しくそんな部位名を漏らしたので・・・食うでしょ(^_^;
 
ちなみに、ちゃんとした和牛のシャトーブリアンのステーキは
100グラムで7000円前後から1万円オーバーなのが常識的な価格。
 
まして、チャンピオン牛をだす農家から手に入れたシャトーブリアンだったら
どんな価格になるのか、想像するのも恐ろしい。
  
そして・・・
 
 
  
 
「ヤバイ!」
 
「ヤバイ、頂きました〜」
 
 
表面だけはちょっときつめに焼いてあるけど、
あの厚みの肉がここまで締まったけど
肉の柔らかさと脂の滑らかさは、半端ないのだ。
 
でもA5サーロインの様に、口の中で消えていくような感じは無い。
そして、いつまでも肉の味が残るような後味・・・・

いやいや、美味いわ、マジ(^_^)
 
こうなると、もう、周りのカップルの馬鹿話も聞こえず、
至福の時間を過ごしていると・・・
 
 
「チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴーナがありますけど、グラスで出せますよ?」
 
「トスカーナ?」
 
「はい。ブルネロ・ディ・モンタルチーノの2011年です。」
  
 
  
 
店主はイタリアワインのソムリエと言うだけあって
グラスで出すイタリアワインは、コストパフォーマンスの良い物が多い。
 
チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴーナはトスカーナの偉大なメーカーに1つで、
モンタルチーノの南端にある畑が他の畑とは違う土壌となってて、
元々の持ち主だった貴族が死んだ時、耕作を担当していた爺さんが受け継いで、
今に至っているのだ・・と店主が説明してくれた。
 
着る物にしろ、食べ物にしろ、その背景にある物語が見えると、
その良さに深みが増す気がするし、クオリティの裏付けにもなる。
 
満席の店を回しながら、そんな話をしてくれる店主がいるから、
殆ど宣伝をしない、知る人ぞ知るわかりにくい店なのに満席になるのだろう。
 
店にたどり着く前の身の置き所の無い気分は、
最高のヒレと、グラスワインとしてはあり得ないレベルのワインで
すっかり霧散してしまった・・のは、言うまでもない。
 
 
明日のイブも明後日のクリスマスも、仕事。
その前に、特別なプレゼントをもらった気分で、店を後にした。
 
ごちそうさまでした。
☆☆

0 件のコメント:

コメントを投稿

BUILD A BURGER

人混み嫌いではあるけど、 取材なので行ってみた「CP+2025」。         プロからアマのカメラファンにまでと門戸を広げたイベントなので、 一般客がいないプレスタイムに訪れたのに、それでもかなりの人出があってビックリ。         イベント内容はnoteに書い...