2017年12月10日日曜日

横浜晋山で花巻蕎麦

「日曜の仕事終わりで、焼肉食わないか?」
 
「あのさ・・・
 夜の10時まで仕事なんだよ?」
 
「横浜にさ、牛一頭買いの焼肉屋があるんだよ。
 最近お前、焼肉ネタ書いてないじゃん?」
 
 
肉食仲間から、誘われていた。
 
朝10時から暗くなるまで撮影しつつの2日間。
壊さないように締め上げている、とは言え、消耗している。
 
明日はオフだし、
ここはしっかりタンパク質&脂肪を入れておくのも大事・・・と
考えてOKしておいたのだが、仕事が終わる時刻に電話が鳴る。
 
 
「ゴメン!今日、腹の調子が今一なんで、焼肉は無理かも」
 
「は? おいおい、もうちょっと早く電話しろよ」
 
「ゴメンな。 なんか、ちっとふらつく感じなんだよ。」
 
「風邪? インフル入ってる?」
 
「そんなんじゃなくて、疲れかも。」
 
 
頭の中には、久々に上カルビ食うぞ〜なビジュアルが浮かんでいたのに、
なんとも悲しい連絡が入った。
 
どうすんだよ・・・
焼肉のために空けておいた腹は「なんか食わせろ!」って暴れてるぞ?
 
とは言え、日曜の夜10時過ぎに、一人焼肉は悲しすぎる。

こんな寒い日は、暖かくなる汁物でも食べつつ、熱燗とかが嬉しいんだが・・・ 
 
あ!
もしかして??
 
晋山やってるかも(^_^;
 
 
蕎麦喰いだけじゃなくて、飲みを楽しむ人までを虜にしている横浜晋山は、
閉店が23時の夜だけオープンする蕎麦屋なのだ。
 
電話をして、蕎麦だけ食べさせてくれ・・と頼んだらOKだったので、
タクシーを飛ばして中華街に行けば、既にこんな感じになっている。
 
 
  
 
「すいません、こんな時間に。」
 
「いつも閉店時間より遅くなっているので、心配ありません。
 ゆっくりしてくださいね。」
 
 
店主の優しい言葉に甘えつつ、アテと蕎麦を同時に頼んで、
酒を飲みつつ蕎麦の上がりを待つ事にした。
 
 
「大きなカメラですね」
 
「これ、仕事用なんですよ。」
 
「私、写真好きで若い頃は一眼レフで撮ってたんですけど、
 最近はスマホのカメラで充分になっちゃって」
 
「今のスマホ、本当に綺麗に撮れますよね」
 
「今日はどんな物を撮ってたんですか?」
 
 
女将さんが仕事用のカメラを見て、声をかけてくれた。
 
今日の装備は
5D3とレンズ3本他を入れたバッグが一つ。
 
他に客が居ないから、カウンターの上にカメラを置いていたのだが、
そこに食いついてくるとは、思わなかった。
 
 
「南区でイベントがあって、そこで撮影アドバイスをしてたんですよ。
 で、こんなのを撮ってみたり・・ね」
 
 
  
 
「え〜!これ何ですか?綺麗ですね〜」
 
「LEDを仕込んだキャンドルを川のように並べたディスプレイなんですけど
 スローシャッターで歩きながら撮ると、こんな感じになるんです」
 
「色が鮮やか・・・」
 
「LEDならではの発色と、デジカメだからこその色、ですかね」
  
 
スローシャッターを使って絵を描くように撮るのは、面白い。

今回のように、LEDを多用したディスプレイがあると、
CGのように綺麗なラインを書くことが可能になる。
 
出来上がりを想像しながらカメラを動かしていく作業は
写真の魅力を広げていくんだな・・と今更ながらに感じてしまう。
 
 
「花巻そばです」
 
と店主が持ってきてくれた丼には
漆塗りの蓋が乗っていた。
 
懐かしいなぁ・・と思いつつ、
この蓋を開けると、海苔の香りがフワッと広がった。
 
 
  
 
「やっぱり花巻って、蓋を取る瞬間が最高ですね」
 
「昔は、出前の蕎麦には必ずこの蓋が使われていたんですけど、
 今はもう無いみたいなんですよ。」
 
「そうなんですか?」
 
「えぇ。
 花巻には蓋が欲しくて探したんですけど無くて。
 で、作っちゃおうかな・・とまで思ってた時、見つかったのがこの蓋」
 
「作ったのかと思った」
 
 
花巻蕎麦は、
簡単に言えば「ざる蕎麦」の汁蕎麦バージョン。 
 
かけ蕎麦にもみ海苔を散らしただけなのだが、
これがざる蕎麦と一緒で、海苔の豊かな香りが楽しめる
独特の美味さがある一品なのだ。
 
江戸時代からあるこの花巻、
散らしていた浅草海苔が「磯の花」と言われていた事から 
その名が付いたと聞いているけど、ざる蕎麦よりも楽しいと
私自身は思っている。
 
 
「しかし、香りの高い海苔ですね。」
 
「佐賀海苔です。」
 
 
有明産だよね、やっぱり。
 
佐賀は海苔づくりに適した環境がある有明海があって
県の有明水産振興センターが「のり養殖情報」を出すなど
官民一体の海苔作りを行っている場所。
 
海草は、熱湯などで温度を上げると綺麗な緑に発色するけど、
佐賀海苔もまた同じ傾向があって、
蕎麦の上の海苔が緑になっていく様が、なんとも言えず美しい。
 
 
「ところで、大晦日って席はもう無い?」
 
「ごめんなさい。もう早くから予約が入ってて、
 今、受けないようにしています。」
 
 
だよね〜♪
 
去年の12月にオープンして、やっと一周年な晋山も、
その美味さにやられた客が、教えたくない店として贔屓にしているから
未だに認知度は低いくせに、客はかなり集まる店に成長している。
 
年越し蕎麦をここで・・と思う人は、当然多いだろうと思ってたけど、
その裏付けをしてしまったらしい(^_^;
 
生麺予約しておいて、
家で年越し蕎麦を楽しむしかない、ようですね。
 
ごちそうさまでした。
☆☆

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