2018年11月8日木曜日

あぶら屋の天丼

「天丼食べに行こうよ」
 
「良いですね、美味しい店知ってるんでしょ?」
 
「もちろんよ〜」
 
 
そんな言葉を先輩からもらえば、
そりゃ着いていくしかないよね。
 
野毛近くの音楽通りにある「あぶら屋」に連れていかれ、
カウンターしかない狭い店内で、半強制的に食べさせられたのが
この天丼だった。
 
 

 
 
このお店、油を扱う商店が昼だけ営業している、知る人ぞ知る名店。
 
特上は大海老二尾と穴子、野菜が乗った天丼だが、
普通これだけ食べたら間違いなく胸焼けするのに、
さすがは油を扱う店がやってるだけあって、実に軽い。
 
海老好きとしては悶絶しそうな海老天が2本だから
久々の興奮を覚える天丼だった。
 
先輩は同じ物を頼みながら、海老だけを食べ
残りの天丼はパック詰めにしてもらっている。
(常連だからワガママが効くのかな?)
 
 
「俺さ、もうこんなに食べらんないんだよぉ」
 
「信じられないです」
 
「それが歳ってもんなんだよぉ。
 でもコイツを持って帰って家で食べるのが好きでさぁ」
 
「汁が浸みた柔らかい衣の天麩羅も美味しいですよね」
 
「だよなぁ」
 
 
ビジネスパートナーでもある彼は、
人懐こい笑顔で私を昼飯に誘う気の良いオヤジに見えるけど、
地域に根強いパイプを持つ、顔役的な人でもあった。
 
記憶に残っている人とは、
一緒に食事をしたり、同じ環境に居たりした上で、
どこか魅力ある生き方と、ブレない芯を持つ人であり
尊敬できる人である事が多い。
 
彼も正にそんな人の一人で、
立場的には下になる私にも対等な態度で扱ってくれたから、
一緒に仕事できる事が楽しかった事を思い出す。
 
彼が他界して、もう2年を過ぎた。
 
心配していた仕事はどうにかまだ続いているけど、
一緒に机を並べた場所へは、亡くなってからは行けてない。
 
思い出すのは「天丼!」と頼んだら
「特上2つな!」と後追いでアップグレードしてくれた声。
 
ニヤッと笑って「海老、好きだろ?」
と海老2本が入る天丼を勧めてくれた事も、
今まで食べた中でもかなり上位に入る美味しい天丼だった事も
今となっては思い出でしかないけど、
それでも天丼と言えばこのビジュアルが頭に浮かぶ。
 
いや、昨日、カツカレーを食べる、という暴挙をしたら
天丼食べたいなぁ・・って思っただけなんだけどね。
 
今日みたいな遅番の日には
あぶら屋で天丼食べるのも良いかもね。
 
ごちそうさまでした。

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