「肉、食べに行かない?」
「良いですね」
「中華街に、ちょっと良いステーキを出す店があるんだけどさ」
「え? 中華街に??」
「知らないとまず見つけられないと思うけどね。」
「あの・・・」
「?」
「北京ダック専門店があるんですけど。」
「へ〜。
知らないな」
「一昨年の秋にオープンしたみたいですけど、
店先に北京ダックが吊してあって、1回行ってみたいな・・と」
「北京ダック好きなの?」
「食べた事無いんですよ」
「わかった。
初めての店って不安があるけど、
どんな北京ダックが気になるから行ってみよう」
そんな提案を若手達から受けて、
行った事が無い店へ行く事になってしまった。
なるほど、
いかにも北京ダック専門だ・・と言わんばかりの店構えだね(^_^;
この店前に料理人の写真を掲示するのは、
最近日本へ来て開業する中国人独特のスタイル。
どれだけチャンピオンがいるんだ?
って気持ちにさせられる事が多いけど、
プライドを持って営業するのは悪い事じゃない。
「いらっしゃいませ〜」
え?
あなたは客じゃなかったの?
って感じの、ごく普通の女性がアテンドしてくれた店内は、
想像以上に広くて、客はそれなりに入っていた。
あれ?
あれれ??
メニューが、食べ放題になってるよ?
嫌な予感がする(-_-)
とにかく、広東も上海も四川もある
何でもござれなメニュー構成。
食べ残しの場合は一皿500円頂きます、と注意書きがあるのも何だけど、
3000円をちょっと切るくらいで北京ダックも含んだ119品が食べられるのは
中華料理に慣れてない観光客には受けが良いのかも。
「すいませ〜ん。
単品メニューは無いですか??」
「あります〜」
良かった。
単品メニューが存在しない店だったら、
やめようと言うところだった(^_^;
という事で、
北京ダックを取り敢えず1/4羽、
野菜炒めや上海焼きそば、四川元祖海老チリソース炒めなどを
適当にオーダーしてみる。
これが、海老チリ?
なんかどっかで食べた事がある味つけだなぁ・・・
これって、
中国東北料理の羊肉の串揚げにつけるソースに似ているね。
四川とあるからかピリ辛ではあるけど
海老がダメ。
プリプリ感と大きさはあるけど
海老の香りや旨味が感じられないよ(T^T)
あの・・・
これってもしかして
上海焼きそばですか?
上海焼きそばとして持っていたイメージが
ガラガラと崩れていくんですけど?
「これってさぁ
わざわざ単品で頼んだ意味無かったかなぁ・・・」
「なんか、食べ放題で頼んでる人達と
同じ料理に見えますね。」
「食べ放題で頼んでおけば良かった?」
「北京ダックが食べられれば幸せなんで」
そうだね。
そうだったね。
店先にあれだけ吊してあるんだから
粛々と出てくるでしょ。
しかしこの上海焼きそば。
麺も太めなのにブチブチと短く切れるし、
中国醤油がメインな味つけでもない感じで、
ただの炒麺としておけば良いのに・・と思ったりする。
ただ、なんだか味気ない。
「来ませんね〜」
「来ないね〜」
「そう言えば店員、少ないですね〜」
だだっ広い店に、
オーダーをしようと店員を探す客が苛つく空気が漂い、
自分達も青島ビールの追加ができないまま、
目的の北京ダックの到着を待つのだけど、
正直、イライラした顔つきが浮かんできたようだ。
「なんか、中国って感じですねぇ」
「そうだね。
店員に笑顔が無いあたりも、まさに中国だね」
「あ、なんかでかいワゴンに北京ダックが」
香港の飲茶専門店でよく見るワゴンに、
セイロと北京ダックが乗ってやってきた。
ドン!
と音がするような感じで、
2段重ねのセイロが放り投げられる感じで机に置かれた。
なるほど、セイロを蒸したまま持ってくるには
飲茶用のワゴンは便利だね。
薄餅をセイロで蒸し、
それをセイロごと出す形でやってるのだけど、
暖かいまま食べられそうだから、これは嬉しい形だね。
つづいて、タレと薬味の皿が置かれる。
ちゃんと、キュウリと長葱が拍子木に切られて乗っていた。
コックコートを来た調理人が、ザクザクと乱暴にダックを切って、
それを皿に並べていくけど、ここは北京料理の流儀に従って
肉がしっかり付いた形で出してくれた。
広東料理では日本で食べる物のように
皮だけを出す店もあるのだけど、
基本はこのように肉付きで切るものが、本来の形らしい。
暖かい薄餅をセイロから取り出し、
タレを塗ってからダックと薬味を乗せ、
手前から折って半円状にして左右を折ったら準備完了。
うん
まぁ普通な感じだけど・・・
これ、ダック?
なんか味気ないぞ??
と思って、
一切れそのまま食べてみた。
あ
ダメですね、これ(-_-;
肉に味が無い。
パサパサで脂も無い感じ。
タレが随分ネットリとして甘かったのは、
その強い味つけと薬味と薄餅のコンビネーションで
なんとなく食べられる形にしようって考えのようだ。
「北京ダックって、こういう物なんですね。
皮だけ食べるのかと思ってました。」
「本来はこういう物らしいけど、
肉は別に炒め物にして出したりスープに入れたりして食べるんだよ」
「そうなんですか。
中国で食べた事はあるんですか?」
「本土では無いけど、香港では食べたよ」
「やっぱりこんな感じですか?」
「なんか切り方が違ったように記憶しているな」
うん
こんな感じだったよ
「さて、河岸を変えよう。」
「良いですね」
やっぱりね
「食べ放題に美味い店無し」
という原則は、今の中華街にも当てはまるみたいだね。
北京全聚徳という150年の歴史ある名店で修行した職人が作った、
と言うのが嘘くさいと思える経営体制は、
観光客には受けても地元の人間にはアピールできないと、思ってしまう。
次回、こういうチャンスがあって知らない店に入って、
食べ放題メニューしか無かったら、その瞬間に出る事にしようと
心に固く誓った夜だった。
ま、
その後のバーで、
ツマミ多めで飲んだのは言うまでも無い、けどね(爆)
ごちそうさまでした。
40点(色々たくさん食べたい人には良いのかも)
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2016年2月20日土曜日
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