「遅番なんで無理かも」
「ちょうど横浜行ってるから、野毛で待ち合わせしようよ」
「22時に終われたとして、地下鉄が22時15分だから
野毛についたら半回るよ?」
「大丈夫。
行きたい店は24時までやってるから。
この前、京都へ行っておばんざいをアテに飲んでたよね?」
「はい」
「野毛に日本酒とおばんざいの店があるのさ。」
「へ〜」
飲み友達からの誘いとは言え、
遅番終わりで知らない店に行くのは勇気が要るけど、
野毛でお番菜と謳うのは興味が湧く。
晩飯を食べてない事もあって誘いに乗って
久々に野毛へ向かったんだけど、野毛地区から道一本離れた場所に
オシャレな感じの佇まいで、その店はあった。
「どうよ、こんな店?」
「若者には受けそうだよね」
「雰囲気も味だって」
「そだね〜」
オーナーは唎酒師だとかで、
とにかく日本酒を飲ませたい・・という意思が、
メニューにしっかり現れている。
「じゃぁ、まずは伯楽星と、オススメにある鶏肉とれんこん・・と、
鴨葱を・・・」
日本酒に拘りがある割には、
ラインナップにはナショナルブランド系の酒が多く、
そこそこ良いお値段でもあるので、2杯目はメニューに無いものを
頼んでみることにして・・
爽酒というカテゴライズされた中からのチョイス。
食中酒に良いとあったけど、
確かに上品で米の旨さも醸される優しい味わい。
「鶏肉とれんこんをたいたん」
あ・・・
小さ・・・(^_^;
わ・・
醤油が立ってる味付けだわ
「言わなくて良いよ。
言いたい事はわかったから」
「ご飯くれって感じ。
まぁ、アテとしてはこれくらい辛くないと
野毛では通用しないかもね」
「鴨ロースと焼き葱」
これは、想像通りのクオリティで
良くも悪くも平凡だけどダメでは無い感じ。
おばんざいとか謳うからひっかかるのであって、
普通に日本酒飲むためのアテを選べば、不満は無いようだ。
「全体的に料理が小さいね。」
「小洒落た店として、正しいサイズなんじゃね?」
「やっぱり、白いご飯欲しくなるなぁ・・」
京都のおばんざいは、しっかりと出汁が効いてて
淡い味付けの中に旨味と素材の味がバランスされる美味さがある。
野毛で食べるおばんざいは、関東人にはOKでも京都を想像させるから
味を知ってる人には逆効果かも知れないね。
「すいません、牛スジ煮込みと守破離を」
「牛スジ?
・・って、大阪なイメージあるけど?」
「元町近くにある大阪出身の夫婦がやってるたこ焼き屋があってさ」
「うん」
「そこに4人しか座れないイートインコーナーがあって、
アテとして焼きそばだったり牛スジ煮込みとかも出してくれるのよ」
「ほぉ」
「比べてみたくてね。」
「野毛のおばんざいと謳う店で?」
「意地悪?」
「興味は湧くね」
「牛スジ煮込み」
あぁ・・・
スジが固いわ(T.T)
「どうよ?」
「固いわ、塩辛いわ・・で、イメージ違うね」
「こんなもんじゃないの?」
「食べ慣れてる牛スジ煮込みって、
けっこう甘い味付けなんでイメージ違うかも。
でも、甘い日本酒に合わせるならアリかも」
「しかし、随分良いペースで飲むねぇ」
「最近、量を飲まなくなってきたのと、
日本酒に好みの物が増えてきて、
良く飲むようになったんだな」
「麦と葡萄以外はダメとか言ってなかったっけ?」
「そうだよ。
だから3合も飲んだら記憶無くす」
「ってそれくらい飲んでないですか?」
「こうやって喋りながら飲んでりゃ大丈夫さ。
黙って飲んでると2合でも爆睡するけどね」
最近、日本酒を飲む事が多くなったのは、
日本酒がワールドワイドな展開がされるにつれ、
古き悪しき習慣を捨てて、安価で良質な酒造りにメーカーがシフトし、
それがあのベタッとした下卑た味わいを払拭する事になったのだろう。
シャンパンと競争できるレベルに磨き上げた発泡酒を作り出すメーカーもあれば、
中取りや澱がらみなど酒が見せる様々な顔を抽出した製品も出てきたけど、
ワインと同じように使われる事を前提に、味の構成が変えてきたのだろう。
そういう意味でこの店は、
酒を楽しむ事を主眼に料理構成をしている気はする。
「で、京都はどうだった?」
「クラフトビール全盛でさ。
たまたま泊まった宿の隣にオープンしたてのビアバーがあって
日本茶を使ったビールがあって、楽しかったよ」
「写真を撮りに行ったんじゃないの?」
「今回は、食&飲み・・かな」
「相変わらずだね」
「ただ、しこたまクラフトビール飲んで気付いた事がある」
「え?」
「いや、朝はもう、習慣で6時前に目が覚めるんだけど
京都では明け方に腹が痛くて目が覚めたんだよ」
「飲み過ぎ?」
「だと思ったんだけどさ、
どうやら生きた酵母とかがバッチリ入ったビール飲みすぎで
お通じが良くなっちゃったみたいなんだよ」
「そんな事あるのかなぁ」
「エビオスの飲み過ぎ・・・みたいなもんだと思えば、ね」
しかし、
話が落ちてくるのは酔っ払いの常だけど、
性的な方向へ行かないのは何故なんだろうね(爆)
ごちそうさまでした。