2019年7月24日水曜日

ケーブルカーでステーキ

「だからさぁ、アイツのやり方がダメなんだよ〜」
 
「ヤツはヤツなりに頑張ってると思いますよ」
  
 

 
深夜のケーブルカーで、40代に見える男が2人、
誰かの事を話題に飲んでいる。
 
11時を過ぎると明確に客が減るのだが、
その時間帯が一番気に入っていて、敢えてそんなタイミングで入店する。
 
その時は決まって、一番入口に近いカウンターの角に座るのだが、
今日に限っては店の中程まで、団体が居座っていて、珍しく真ん中辺りに座っていた。
  
 

 
ノーネクタイの白ワイシャツな集団が11時前に一斉に退出した後に訪れた
2人の男はず〜っと誰かの悪口を吐き、聞きたく無いのに耳にはいってくる
どうでもよい会話は、酔わないと苛つきが移りそうだと感じていた。
 
それでも若い頃に比べると酔客の言葉は頭に入らなくなっていて、
それが救いと言えば救い。
 
以前はそんな会話が無意識にも記憶され、
何か文章を書く時の引き出しにもなっていたけど、
その言葉の感触が自分の心を傷つける事も多かった。
 
 

 
今日のスターターは、お決まりなギネス。
 
サイズはパイントで飲むのも決まりなのだけど、
それをユルユルと時間をかけて飲むのが楽しいのだ。
 
初めて飲んだ時は、こんな醤油が出来損なったようなビールが
何故売れているのかわかならかったけど、
要は慣れ、という事なんだろう。
 
アイラモルトもそうだけど、強烈な個性の奥に隠れている味わいに気づくと
その甘美な魅力に囚われてしまうらしい。
 
そしてギネスが無くなる前に、サーロインがやってきた。
そう、晩飯難民になっていた私はステーキを食べに来ていたのだ。
 
 

 
ケーブルカーのサーロインは、
コストパフォーマンスに優れている。
 
専門店の物には敵わないけど、
リーズナブルな価格設定からは想像できない魅力があって、
敢えてここのステーキを食べたい、という気にさせられるのだ。
 
グリルで焼くステーキならではの味わいは、
鉄板焼ステーキとは別物の楽しさがあるのは事実。
 
間門にあった伝説のステーキ屋ジャックスがグリルステーキだったけど、
その味わいが好きで、記憶にこびりついている事が遠因なのかも知れないね。
 
 

 
ステーキを食べ終わって、アイラをストレートで干した頃、
店は静かになっていた。
 
そう言えば、こんな時間に誰かと語り合いながら飲む時間は
限りなく無くなった。
 
酒量も減ったけど、出かける元気が出ないほど
あらゆる事に対する興味が減ってきたって事なのか。
 
年齢だけで区別される憤りの様なものを去年は感じていたけど、
この空気感を楽しむのもまた、今の自分だからできる事かも知れない。
 
・・・と、ちょっと飲み過ぎたかも。
明日もあるのでお開きにしよう。
 
ごちそうさまでした。

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