カニータス

「２日にさ、ちょっと写真撮ってくれないかな」
　
「了解〜。何撮るの？」
　
「ガンダム」
　
「え？」
　
「ガンダムだよ。山下埠頭の。」
　
「あれ、まだやってるんだっけ？」
　
「やってるよ。
　実はさ、『世界自閉症啓発デー in 横浜２０２３』ってのが２日からあって、
　横浜各所で８日までシンボルカラーである青のライトアップがあるんだ。
　で、各所をスタッフで分担して撮るんだけど、その中でガンダムもブルーライトアップに
　協力してくれるんで、ちゃんとした写真が欲しいだわ。」
　
「最近のスマホなら綺麗に撮れるんじゃ？」
　
「俺には無理。
　君はもうフリーになるよね？
　予定入ってる？」
　
「予定は無いっす。」
　
「じゃ、晩飯食わすからチョロッと撮ってくれない？」
　
「数カットで良いよね？
　アゴ・アシなら受けるわ」
　
「助かる〜
　よろしく〜」

　

　

　

　
と言う事で、ブルーライトアップ前に入ったGUNDAM FACTORY。
　
夜に入ったのは初めてだけど、相変わらずの人気でちょっと驚く。
コロナ対応の変化で外国人観光客も結構入っていて、
ガンダムバックに写真を撮り合っていた。
　
ほんの数カットだから許可された時間も長くなく、
客が全部出てから一気に撮りまくる。
天気が悪くなくて助かったが、
雲が出ているので月を絡めたカットはちょっと難しかった。
　　　
流石にブルーライトアップされた写真はアップできないけど、
R５で撮ったガンダムはかなり綺麗でファンならずとも
ちょっと惹かれてしまう魅力がある。
　
そんな写真はiPadに転送して欲しいカットを選んでもらうのが最近のパターンだが、
デジタル化の良い部分でありつつの情緒が無いなぁ・・と思ったりもした。
　

　

「じゃ、飯にしよう。
　もうちょっとゆっくり写真みたいし。」
　
「腹減ったし、腰が痛いからゆっくりしたいわ」
　
「相変わらずの不調？」
　
「歳だね。
　コルセットしないと、いつギクっていくかわからないからさ、
　暑い時期は仕事は受けたくないね」
　
「タコス好き？」
　
「好きだよ〜　ビールに合わせるの最高」
　
「近くにさ、石川町のイタリンが出したメキシカン系の店があるんだよ」
　
「あ〜もしかして、マーチン？」
　
「知ってる？」
　
「知ってるさ。」
　
「なんで？」
　
「あのさ、晩飯難民なのよ、俺。
　遅くまでやってる店って、数少ないのよ。
　で、帰宅ルートからちょっと外れるけどボエムってイタリアンによく行っててさ・・・」
　
　
そう「Deli&Restaurant Bar Maachin」は、
以前は「４９２」というライブバーがあった場所にできた店で、
深夜営業＆１円訴訟で話題になったグルーバルダイニングの「Cafe La Boheme」の
斜め前にあったから行ってみたら、遅くまで営業しているありがたい店だったのだ。
　
　
「まぁ、そうだよな。
　実際２０時過ぎたら飯食おうって言っても行ける店は数少ない。
　Eggs'n Thingsもラストオーダーが２０時だから無理だしな。」
　
「腹減ったから早く行こうぜ。コルセット外して休みたいし」
　

　

　
カニータスタコス
　
豚肉（肩）を柔らかく煮込んだ料理らしいが、
Google先生によれば本来はラードで煮込むのだとか。
そんな肉とタマネギ、ニンニク、パクチーなんぞと合わせてタコスで巻いて食べるのが
カニータスタコスらしいが、肉を低温調理すれば良いらしくオーブンで焼いたり、
普通に煮ちゃったりするレシピも出てきて面白い。
　
豚の肩肉と言えばプルドポークも同じ部位だったと思ったら、
メキシカンプルドポークと紹介しているページもあって、
美味きゃいいやって感じで作る家庭的な料理なんだろう・・と勝手に判断した。
　
このタコス、初めてこの店に入った時に食べてから病みつきになって、
毎回の様に食べているように思うんだけど、他のタコスに興味が湧かないっていうのもある。
　
そしてこんな味わいだと、やっぱテキーラ系な飲み物に合わせたくなっちゃうのは
酒にだらしない自分のいけないところかも知れない。
　
　
「でさ、これからどうすんのよ？」　
　
「あ〜、ま〜、まずは休む。」
　
「とか言って、すぐ撮影の仕事入れるんじゃ？」
　
「いやいや、そうもいかないのよ。
　実はマジ、身体ヤバくてさ。
　４月は休養＆リタイヤ生活に向けた諸々の手続きと
　健康保険の任意継続をなる早で進めて、精密検査もしなくちゃ・・なのよ」
　
「まぁ、今までは不健康な生活だったしな。
　でもどうにかなる？」
　
「ま〜、そこは蓄えと年金でね。
　身体を壊さない程度に動かしつつ、節制しつつ、
　片付けしつつだなぁ・・・」
　
「機材、結構あるだろ？」
　
「うん、どうやって片付けようってレベルであるけど、
　面倒なのはスタジオ用のスタンドとかバック紙とかだねぇ」
　
「とか言いながら、ちゃんとした機材持ってきたじゃん？」
　
「一応、こうやって断れない人から声かかったら、対応できるように更新した。
　カメラもレンズもPCもほぼ全部揃ったけど、モニターだけは更新してない。」
　
「なんで？」
　
「高けぇし、印刷媒体にデータ出すとかの仕事も無いだろうしね。
　iMacの２７インチとかが出るならともかく、
　EIZOとかのモニター買うまでの事は無いっしょ。」
　
「業務用のモニターは高いしね」
　
「それより、どうよ？ガンダム」
　
「綺麗だね。これってサイズは？」
　
「A１くらいまではいけるサイズだよ」
　
　
確かに、趣味で写真を扱うレベルの機材では無いけど、
ずっと処理速度が不満だったPCはM2 MAXになった事で苛つく事は無くなった。
　
仕事をガンガン入れていくつもりだったらM3が出るまで待ったろうけど、
そこまで命があるか？って問題もあるので、今味わえる快適さを最優先。
　
　
「しかしさ、６５歳にゃ見えんね。」
　
「髪があまり白くならないのと、歳相応な服装じゃないから・・じゃない？」
　
「そうなのかなぁ」
　
　
いや、精神年齢がちゃんと歳相応になってないって事ですよ。
未だに子供っぽさが抜けなくて、自分でも嫌になってるしね。
　
　
「すいません、ビールのお代わりとアドベックストレートで！」
　
「おいおい、その機材持って帰るのに、しっかり飲むんかい？」
　
「明日、仕事じゃないし、脚痺れっぱなしだからタクシー乗るし、ね」
　
　
相変わらずの酒馬鹿は、当分、治りそうにはないようです。
　
ごちそうさまでした。