2023年5月20日土曜日

楽園で生碼麺とか

「楽園の天津飯ってそんなに美味しい?」
 
「うん、自分的にはかなりの上位」
 
「たまには南京町(中華街)に連れてってよ。
 もう、仕事はそんなに忙しくないでしょ?」
 
「今はもう南京町なんて言わないよ。
 で、いつ行きたい?」
 
「20日は?学校も予定も無いから。」
 
「いいよ。だけど土曜だよ?」
 
「混む?」
 
「凄く。
 楽園は何故か入れる事が多いけど、
 観光客増えてるからわからないよ?」
 
「行ってダメだったら諦めましょ。
 もう鴻昌は無いでしょ?」
 
「エディ藩の店?
 何時の話よ。とっくに無いよ。」
 
「そうなの、残念ね。
 お盆やお彼岸でお墓参りする時は、いつも彼処で皆で食事したよね。」
 
「あの鯉の揚げたヤツ、嫌いだったな」
 
「南京町じゃ、あの料理が一番上等だったのよ」
 
「絶対残るし、残ったら折り詰めにしてお土産になって、
 またそれを夜食べるって、嫌だったなぁ・・・」
 
 
そんな約束を家族としていた今日、
12時前には中華街に着くスケジュールで動いてみたけど、
地下鉄・元町中華街駅から中華街に向けてのルートは人だらけだった。
 
善隣門の隣にある楽園までのルートでは、
どの飲食店も行列ができ、食べ歩き用の食品販売店は行列がとぐろを巻いていて、
やっぱり休日の中華街を舐めていた事を痛感した。
 
それでも目指す「楽園」付近まで来ると、行列を作る店が減るせいか幾分空いてきた。
願わくは、順番待ちの人がいないように。
 
 


 
「あれ? 並んでないね」
 
「うん、何故だかわからないけど『楽園』ってだいたいいつも入れるんだよ。」
 
「他の店に比べて美味しくない?」
 
「いやいやいや、ひょっとしたら他の店より美味しいんじゃないかな。
 モツ料理が有名で、中華街で働く人達が集う店もであるんだけど、
 あまりに善隣門が近いのと入口が狭いので、見過ごされるんじゃないかって思ってる。」
 
 
中華街の不思議って言ったら大げさだと思うけど、
「古くからある美味しい店が、人気店じゃない」というパターンは結構ある。
 
その最たる理由は「ウェブやTVにあまり出ない」という事で、
この「楽園」もTVに出た事は殆ど無く、登場しても予約しないと食べられない料理
とかを紹介するので、観光客としては興味の対象になりにくいのだろう。
 
店内は3組の客が食事をしているだけで、ガラガラ。
時間的には12時前って事もあると思うけど、あと一時間もしたら
行き場所が無い行列嫌いな人達が飛び込んでくるだろう、と勝手に想像した。
 
 
 
 
「何頼む?」
 
「あれ?天津飯じゃないの?」
 
「サンマー麺食べたくなっちゃった」
 
「じゃぁ、俺が天津飯頼むから、ちょっと味見すれば?」
 
「そうね」
 
「サンマー麺って、昔からあった?」
 
「あったよ。
 モヤシがいっぱい入ってるから好きだった。」
 
 
昭和時代、横浜中華街の事を南京町と呼んでいたのは
当時を知る人なら知っているはず。

メインストリートを外れると怪しい街で、
子供は絶対に入るなと脅されていたっけね。
 
自分の記憶としては、裏に入ったら鶏の加工所があって、
羽をむしられただけの鶏がズラッと吊されていて、
その光景が恐くて一時期鶏を食べられなくなった記憶がある。
 
そんな子供の頃、市内の中華料理屋でも中華街でも食べられる
モヤシが入ってトロミ餡がかかってる中華ソバを何故「生碼麺(生馬麺)」呼ぶか、
とかは考えた事が無かった。
 
だが、媒体で仕事するようになって取り扱った時調べたら、
港町横浜には埠頭(中国語では碼頭)があって、そこで働く人達が食べるために
冷めにくい麺料理として考案されたからって話と、発祥となる聘珍樓の賄い食で
シャキシャキした食感を残した野菜(その食感=生)を乗せた(馬)麺だったって話
も出てきて、面白かった事を思い出す。
 
 
 
 
楽園のサンマー麺は、とろみの付いたモヤシ炒めの量が控えめ。
でも、なんだか懐かしい中華ソバって感じの見た目ではあるね。
 
 
「うん、美味しい!」
 
「良かったねえ・・・ちょっともらって良い?」
 
「どうぞ」
 
 
あ〜
なんて言えば良いのだろう。
ホント、懐かしい味わいなんだな。
 
野菜の旨みがスープに溶けていて楽しいし、
その甘味ある醤油系の味わいは、昭和な味わいを色濃く残している。
 
 
 
 
あれ?
天津飯のカニ玉、ちょっと大きくなってない??
 
あ〜
これ、絶品だわ。
 
以前に比べたら具材の量が減ってる気はするけど、
そのおかげで玉子がフワトロな食感になって、かなり美味い!
 
 
「今日のカニ玉、火加減がかなり上手いよ。
 食べてみる?」
 
「うん。
 へ〜、確かに美味しいね」
 
 
良く言えば具だくさんの贅沢カニ玉、悪く言えば固めの食感が玉子の魅力を削っている・・
というイメージだった天津飯のカニ玉は、食材高騰の影響なのかそれとも
調理人の工夫なのかはわからないけど、このままいって欲しいって正直思った。
 
 
 
 
「ここの焼売、肉が固いね」
 
「しっかり肉が詰まってるからね、海老も固いタイプだしね」
 
「なんかこれも懐かしいわ」
 
「崎陽軒とかスーパーの焼売じゃ、こういう感じにはならないよね」
 
 
中華街の焼売は、
総じて肉がドッシリ入った肉団子に薄い皮を纏わせた様なものが多く
かつ個性的で、崎陽軒と同じ様にホタテ貝柱を具材に混ぜた焼売もあるので、
焼売だけ食べ歩いたら面白そうだ、と思ってはいる。
 
とは言え、焼売だけオーダーのツアーってちょっと難しい。
 
何故なら、それだけじゃ物足りなくてビールとかチャーハンとかを
追加オーダーする事になって、結果的にカロリーオーバー(コストオーバーも)必至。
なので焼売だけオーダーのツアーは実行できないのだ。
 
だけど、天津飯ばっかり食べる・・・ってのはやってみたくなっている。
 
 
「食べ終わったし、出ますかね」 
 
「増徳院(家の墓がある)、行こうね」
 
「11系統(バス)、週末だと混んでて座れないよ?」
 
「まぁ、大丈夫でしょ」
 
「混雑したバスで立ったままって、辛いんだよなぁ・・・」
 
 
と言う事で、激混みな路線バスの旅、始まります。
(って言うか、元職場に向かうバスにまた乗るとは思わなかった)
 
ごちそうさまでした。

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