2020年12月5日土曜日

鹿とか

深夜に美味しい料理が食べられる店は、
コロナ禍前から限られていた。
 
東京だったら苦労しないだろうけど、ここは横浜。
元より夜が早いってイメージがある街なのだ。
 
それでも、深夜から開く焼鳥屋とか
明け方まで普通に営業している中華料理店。
 
夜通し営業していた人達が朝ご飯というか晩ご飯とかいうべきかの
一食を食べに来る洋食屋やお粥専門店なんてのがあったのだが、
東日本大震災をキッカケに、深夜営業はやっちゃいけない業務カテゴリーに
強制シフトさせられた感があった。
 
それでも、そんな無風地帯に活路を見いだす希有な店は少数あって、
そんな店を晩ご飯用に利用させてもらっていたのだが・・・
 
コロナが憎い。
そして、狙い撃ちされた飲食業は廃業に追い込まれる店を出すほど
大きな痛手を受け続けている。
 
表面的な補助では一般業者は動かないと見れば
働かなくてもどうにかなるレベルの補助に切り替えて対応させ
気づけば早く帰るのが当たり前な習慣づけがされてしまったらしい。
 
自分は所謂エッセンシャルワーカーだ。
 
コロナなんて関係無しに毎日の様に出勤し、
22時まで働けば晩飯を作る気力を失う事も多い。
 
だから、22時以降にまともな食事ができる店は貴重だったのに、
コロナ禍のおかげでその殆どを失った感はある。
 
 
「今日はエゾ鹿がありますよ」
 
「あ〜、じゃぁパテは諦めて鹿にします。
 ワインはグラスで赤を。」
 
「ピノとカベルネがありますが」
 
「カベルネで」
 
 
23時に近い時間に、アラカルトでフレンチを楽しめるなんて
あまりに貴重な店「パール・ヴェール・ナオミオオガキ」は
変わらぬスタイルで営業を続けていた。
 
深夜なのにそれなりに客がいるのは他に店が無いという事もあるだろう。
だけど以前と明らかに違うのは、ワインボトルをテーブルに並べて
バカ騒ぎするような非常識グループが消えた、という事。
 
  店には申し訳ないけど、食事をゆっくり楽しめる時間が得られて
自分としては嬉しく感じてしまう。
 
 
 
 
美味い・・・・
と、思わず声が漏れる。
 
鹿はちゃんと処理されていれば臭みも無く
上質な赤身肉として楽しめるのはわかっていても、
ここで出てくる鹿は一味違うのだ。
 
いや、鹿だけじゃなくて
肉料理全般が美味いと感じている。
 
 
 
 
今日は「海老のスペッツェル」。
 
この店はフレンチと言ってもアルザス&プロバンス系なので
特徴的な料理としてこのスペッツェルがある。
 
パスタに分類されるけど、アルザスと南ドイツに共通する地域料理であり、
ご覧の様なショートパスタであって食感は水団(すいとん)とかニョッキに近い。
 
水団は小麦粉で作った団子で汁物の具になって出る事が多く、その食感は竹輪麩に似て
饂飩の塊の様でいてもう少し柔らかい?・・な記憶がある。
 
そんな水団、子供の頃に母親が年に1回くらい作ってくれたが、
食べる度に戦時中の厳しい環境の話をしていた事も思い出す。
 
戦争中の食糧難で、米の代わりに水団を食べた人達は多く、
ググってみたら材料は小麦粉に大豆やトウモロコシ、
コーリャンの粉やぬかを混ぜて作っていて、湯に落として団子状に固めたものを
調味料も無かった事から味付けなしで食べていた、とあった。
 
確かにその料理とも言い難いものを、
しかも燃料不足故の生煮えで食べていた記憶が蘇ったら、
今どんなに美味しく作っても、感情が嫌ってしまうのは仕方ないだろう。
 
真夜中にこんな炭水化物を食べちゃダメじゃんねぇ・・・
と自嘲しつつも美味い&楽しいので止まらないっす。
 
明日もまた暗いうちから起きなくちゃ・・なのに
日が変わる時刻までユルユルと食べてしまうのは
こんな時間が少なすぎるから。
 
酒には罪は無いんだけど、
酒と上品につきあえない人が多すぎるから・・・の政策、
間違っちゃいけないけど、エッセンシャルワーカーの食環境を圧迫していること、
気づいて欲しいと思ってしまう。
 
ごちそうさまでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

BUILD A BURGER

人混み嫌いではあるけど、 取材なので行ってみた「CP+2025」。         プロからアマのカメラファンにまでと門戸を広げたイベントなので、 一般客がいないプレスタイムに訪れたのに、それでもかなりの人出があってビックリ。         イベント内容はnoteに書い...