というのが、なんとなく決まりになっていた。
横浜で和食と言うと、意外に難しい。
道場六三郎が絡んだ店とか、ホテルのメインダイニングになる店とか様々だけど、
歴史有る店には、本来なら紹介があって初めて行けるので敷居が高すぎる。
それでも坂本龍馬の妻が働いていた店とか、
京都で名を馳せた店とかを色々と食べ歩いた結果、
行きつけになったのは「美濃吉」(横浜ランドマークプラザ店)だった。
この時期に食べる目的は松茸御飯だったりするけど、
「美濃吉」はコストパフォーマンス良く、
かつ塩の使い方が自分に合ったからってのが大きい。
面白いもので、京都の本店「竹茂楼」で食べた料理より
美味しいと感じさせられる事もしばしばで、
支店と言えども素晴らしい調理技術があると感じてもいる。
で・・・
今回は松茸の土瓶蒸しがあるコースをオーダー。
年々食材費高騰の煽りを受けて苦労している事を感じさせられる献立だが、
松茸は採り手がどんどん減っているのか、高騰の速度が加速しているように感じる。
前菜は「秋の盛り合わせ」と題した「酒を飲め」・・な料理。
うん、悪くない。
安定した味わいで、酒のアテとしてもバランスが良いね。
年々、コースに洋風テイストを潜ませるこの店だけど、
今回もガッチリ和風な中に1品(焼き物)だけ仕込んできた。
それはやっぱり、幅広い年齢層をターゲットにしている、という事なのだろう。
ところで、料理店と客の関係構築の面白さって食の楽しみの一つだと思うのだが、
京都系な和食店においてはかなりその比重が大きく、
京都の名のある店だとさらにハードルが高くなると感じている。
何故ならそれは、「文化の違い」と「店の歴史の長さ」が大きいからだ。
常連で成り立っている店としては限られた良い食材を常連に出す都合を考えて、
一見客や二度と来ないだろう観光客を店に入れる事は、避けて当然の行為。
流儀やしきたりを重んじる文化の中で、
所作の意味も知らない客でも食事の仕方や食器の扱い方は知っていて、
店の流儀に従える懐の深さと関係構築を楽しめそうな態度があるなら、
流儀に従って何度か通うと常連と見なしてくれる事はあったりするけど・・・。
勿論、無粋な関東人が住むエリアの和食店はそんな流儀は見せないが、
それでも所作や作法を見て店が客を判断するのはルーティンだったりする。
例えば、敷居が高そうな店に初めて行った場合、
前菜の次の椀物を味わった後に女将クラスが様子を見に来る事がある。
(個室で料理を楽しむ場合に・・だったりするけど)
店側としては今後の付き合いをどうするかの判断と、
料理の塩加減の確認のために来るルーティンの様なものだが、
そこでの会話の内容で客の値踏みをし、味付けが合うか合わないか
(店に合うか合わないか)を確認するワケだ。
勿論、初見で上客リストに上がるワケも無く、
店の流儀に合う合わないは別として客側が「裏を返す」時のために、
記録を取るのが専らの理由だが、客としても椀物に意見を言う場合は
「裏を返すからよろしく」というメッセージを込めるワケだ。
今回の椀物は「松茸土瓶蒸し」になった。
以前は蒸し物として土瓶蒸しを出し、椀物はちゃんと別に出していたと思う。
椀物だったら味付けについての判断もしやすいけど、これはもう・・ねぇ(^_^;
いや、年一回の松茸の土瓶蒸しなので、
美味しく楽しく頂きましたけど・・・
やっぱ違和感。
向付は「本日のお造り」と称した刺身盛り合わせで、
湯葉を合わせる辺りが京都を気取った感がある。
ま、間違いない美味さで、酒が進みますな。
会席料理だから酒が進み会話が弾む・・という流れなんだが、
まぁ、コッチはユルッと味わいをツマミに妄想の世界を楽しむ。
そして、いよいよ洋風テイストな焼き物の登場だ。
旬菜「:黒毛和牛朴葉焼き」
朴葉焼きって本来は朴葉の香りを楽しむ郷土料理なイメージがあるが、
ここまでの良い肉だと、私の馬鹿鼻ではその香りを楽しめなかったりする。
ま、肉好きなんで嬉しいっす。
(美味いしね)
椀物が土瓶蒸しだったので簡易型コースなんだと理解はしていたけど、
煮物は省略され、強肴が登場した。
「名残り鱧 松茸すき鍋」とあるが、九条ネギに加えて玉ねぎがあるあたり、
京都風のすき鍋って事なんだろうね。
強肴とあっても、実際は煮物な扱い?
次の料理名はあまり目にしない「酢肴 季節の酢の物」なので、
実際はこっちは強肴だと思ってしまう。
そこまで和食に詳しいワケじゃないけど、
料理の質(格?)としてこの酢の物は量が少なくて弱いから、
強肴としての格が出せなかったのか?・・なんて邪推。
確かに酢の物だから、
そのネーミングは仕方無いのかな。
美味しいけど、コース的には品数を稼ぐための策なんだろう・・と思って、
最後の杯を干して御飯を待つ事にした。
この店では、御飯は土鍋で客毎に炊いてくれる。
客の横で炊き上がっていくご飯の香りが流れてきて、
自分にとってのメインとも言うべき「松茸御飯」の仕上がりが近い、と知る。
炊き上がりで無くなる固形燃料が消えるとスタッフがやってきて、
炊き上がった御飯をかき混ぜ、焦げの部分や松茸を上手く混ぜる。
それをお茶碗にとり、
香の物と留め椀(赤出汁)と一緒にセットしてくれた。
これが食べたかったのよ〜
ご飯と松茸の香りのハーモニーがヤバいわ〜。
いやぁ〜美味いわ。
これだけ食べられたらOKって言いたくなるほど、美味いわ。
食べてる途中で味変としてちょっとだけ山椒を振りたいとこだけど、
折角の香りをぶち壊すので・・・かけないか(^_^;
今年も秋に、
松茸御飯を食べる事ができました。
幸せです。
ごちそうさまでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿