いずれにしろ、美味しいと思えるほどの感動は無く、
これなら豚の肩ロース肉を自分で焼いた方がマシって思った事だけを、覚えている。
だからその後に食べた「ビフテキ」と称される「ステーキ」という食べ物は、
固くて慣れない匂いがして、しかもちょっと臭いってイメージしかなかった。
だがそれは、関東における牛肉食の一般化が遅れていて、
良質で安価な牛肉が無かったり部位によって変えるべき調理技術が遅れた結果で、
多分、有るとこには美味しいステーキもあったのだと、今は推察できる。
そんな経験しかなかった若僧の自分が、ステーキって美味いって思えたのは
八ヶ岳高原ロッジのメインダイニングで食べた信州牛のステーキだった。
え?
・・と衝撃的感動を受けたのは、ステーキを口に入れた瞬間だった。
溶けた?
今、口に入れたステーキが口の中で消え、
美味さだけが残っている??
牛肉独特の、ちょっと臭いイメージなんて無くて、
上質な脂と肉の美味さだけがずっと残っている、と言えば伝わるだろうか。
以来、そんなステーキを探す行動に出たかったのだが、
如何せん若僧だった自分にとってステーキは高嶺の花なのね〜(T_T)
「おぅ、肉食いに行こうぜ」
「あ、良いですね。どちらへ?」
「俺が肉を食いに行くと言ったら『ジャックス』だろ」
「あぁ、前に職場の皆と行って食べた『ミニサーロイン』は美味しかったですね」
「あのな、彼処で食べるなら『シザリングステーキ』だよ。」
「え・・・そんな高いのって、食べた事無いっす」
「いいから、行くぞ!」
・・と連れて行かれたのは、まだ中華街に店があった頃の「ジャックス」。
(その後、間門に移転した)
大将は「シザリングステーキ」230グラムを1人1枚ずつオーダーしてくれたけど、
その時はグリル独特の香ばしさとバター醤油で味付けされたステーキの美味さに驚いた。
だけど、よく考えてみれば当時はその空気感に酔っていて、
本当の意味でのステーキの美味さなんてわかっていなかったのだろう。
間門に移転した「ジャックス」との付き合いが増えたのは、
仕事での付き合いに加えてジャックと夫人が私のHPを見てくれた事もあっての事。
そしてこの「ニューヨークカットステーキ」(300グラム)は、
カブリと言われる部分も含めた端の肉で、
「常連客が来たら出そうとストックしていたんだ」
と、ジャックは笑いながら勧めてくれたものだった。
鉄板で調理するステーキと、グリルで炙り焼きするステーキ。
そのどちらも魅力的なものだけど、鉄板焼ステーキは技術の差が出やすいと思っている。
何故なら、鉄板は脂がグリルの様に落ちないので、
上質(脂が多い?)な肉ほど脂が強くて、何を食べているのかわからなくなるのだ。
美味いステーキ探しで出会った、横浜ロイヤルパークホテルの「よこはま」。
ホテルらしく鉄板で焼くステーキを出す店で、丁寧な鉄板管理と確かな肉選びは特徴。
脂が少ない安価なコースのステーキの方が自分の好みにはまる事と、
ホテル会員になっていた事もあって、特別な日に通うパターンが多かった。
近年は誕生日(3月30日)にステーキのみのコースで予約するのが決まりになっていて、
今日も予め予約しておいたのだが、なんと夜営業最終日なのだとか。
油はね防止用の布エプロンのロゴも歴史を語っているけど、
来年はどうすれば良いんだ?って思いも湧いてきたりする。
閉店してしまった鉄板焼ステーキの名店「ショータイム」無き後、
この「よこはま」も今日で終わりとなると、マジに悲しい。
オーダーしたのは、ステーキメインのコース「港」。
前菜・サラダ・スープ・ステーキ・野菜焼き・御飯・味噌椀・デザート・コーヒー等
の設定で、御飯はオプションでガーリックライスにするのも、お約束。
この日の肉は黒毛和牛のA4で、
フィレ120グラムかサーロイン150グラムのチョイス。
ま、最後って事で特別にコンビにしてもらって・・・
A3の方が嬉しかったなぁ・・とか心の中で呟きつつも、
肉の焼ける匂いの魅力に期待は高まる。
肉を置く皿には、鉄板でバターで焼いたトーストを敷き、
その上にカットしたステーキを置くのだが、ここでちょっと気がついた。
と言うのも、そのバタートーストがステーキの脂を吸ってかなり美味いのだけど、
そのトーストでステーキ挟んで食べたらかなり楽しいんじゃないか?って事に。
もうね、美味すぎるんだよこのステーキ。
A4だけに脂強めなのは仕方無いけど、
それじゃ・・と一切れをトーストで挟んで食べたら・・
う・ま・す・ぎ・る・・・じゃん(爆)
何故、今までそんなトライして来なかったんだろう。
肉汁を吸うために敷いてあるって思い込んでいたのかな。
あ・・でも・・・、やっぱ脂は手強いわ(^_^;
こんな量じゃ足りないって思ってたけど
十二分に腹が膨れてきた感があるね。
これが、「よこはま」スタイルのガーリックライス。
御飯の一部を鉄板上で潰して伸ばし、煎餅の様に焼いた物を添える。
これ、帝国ホテルの「嘉門」がやってるののアレンジ版かな。
でも結構好きなんだよね。
「この後、シリウスに上がります。」
「連絡しておきます」
ロイヤルアスコットでバーテンダーだった事で知り合ったスタッフに声をかけ、
コース最後のデザートを楽しんだ後、予約しておいた「シリウス」のカウンターへ。
最終営業日に、ここで飲みたい人が多かったようで、
結構前に予約しておいてよかったと思ったりする。
カウンター利用者は2階の「ロイヤルアスコット」ユーザーが多く、
キープボトルを飲みきるべく殺到しだしたのは今月に入った頃からか。
そういう自分も、何回かカートを持ってサルベージ飲みに訪れ、
今日は簡単に持って帰れる3本を残す形にしていた、と。
「ねぇ、このロングモーン、バーテンダー3人で分けて飲んでくれない?」
「え、良いんですか?」
「1967年蒸留の43年物なんて、もう飲めないよ?
グラスに注いじゃって、仕事が一段落した時に飲んでください。」
「ありがたくいただきます」
スタッフで飲んで〜と残ったボトルを全部置いてっても良いのだけど、
同じ様に思う人や、飲みきれなかった人達のボトルがどれだけあるかわからないので、
ちゃんと持って帰ります。
ただ、明日からこんな風に飲めなくなるって事を、
理解できない自分がいるのも事実。
あまりにも色々な事があった時代を一緒に過ごしてくれた場所。
そして、様々な人を誘って飲んだ場所だから、
自分の大切な居場所を失う気分になれないでいるのかも知れない。
最後の時間は迫ってくるけど今日は閉店時刻まで居座らず、
駆け込みで飲ませて・・と来ちゃう人のために、席を空けると考えていた。
そうだ・・
ここからの写真は何度も撮ったけど、
最後の日の写真だから1枚撮っておこう。
ありがとう、横浜ロイヤルパークホテル、そしてスタッフ各位。
鉄骨時代からの付き合いで、バーテンダーとして知り合ったその後、
異動で各施設に移った先でまたお世話になったりで、
とにかく自分の人生に大きく影響してくれました。
3年後、マリオットとのフランチャイズ契約により、
「横浜ロイヤルパークホテル」の商号を継承しつつ
「ラグジュアリーコレクション」ブランドとして再スタートすると聞く。
それまでの間、スタッフは日本全国や横浜の各ホテルなどで働くらしい。
どこかで再会できたら嬉しいけど、
今までの様にホテルレストランへ足繁く通う体力も財力も無いから、
出会えるチャンスはそうそう多く無いだろう。
と言うか、ここがが再開しても行けるんだろうか、自分。
・・と弱気になっても始まらない。
財力は向上できなくても体力くらいは保持する努力はして、
再開した時に笑って行けるようにしないと・・・ね。
ごちそうさまでした。










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