以前だったら「櫻庵」で蕎麦か「菊家」で鰻って考えたんだけど、
「櫻庵」は日月定休の店になっちゃって、行きようが無い。
日曜の横浜駅なんて行く気にもなれんし、中華街なんてもっての他。
どうしたもんじゃろのぉ・・と悩んでいて目に入ったのは、この暖簾だった。
そう言えば、この店には随分と顔を出してない。
現役だった頃は、自分が顔を出せる時間と営業時間が合わなくて
いつの間にか疎遠になっていた。
実はこの店、歴史は古く「横浜のれん会」の会員でもあって、
知る人ぞ知る老舗と言うべき店なのだ。
「横浜のれん会」は、横浜の伝統と味を守り続ける老舗店の会で、
昭和28年に結成された会員組織。
30年以上安定経営している事が入会条件だが、
入会する飲食店等は2010年に新規入会があった以降無く、
閉店による退会があるだけど聞く。
その伝統の味わいが楽しめる貴重な店との付き合いは、もう30年以上前の事。
まだまだお好みでカウンターで寿司が食えるような収入が無い若僧だった自分が、
「ちらし寿司」が美味いとの情報に誘われて入った事を、思い出した。
関東風の「ちらし寿司」は切り身を酢飯の上に並べたスタイルで、
切り身を食べながら酒を飲み、残った酢飯を食べて腹を満たす事ができる。
それでも足りなかったらにぎりを少しだけ食べれば良いし、
その食べ方なら高い会計にならないのだが、それでも若僧には過ぎた贅沢だった。
あぁ、久しぶりに「お可免寿し」の「ちらし」を食べたいな。
時間的に半端だけど運良く営業しているから、行くしかないよね?
「まだ良いですか?」
「どうぞ、どうぞ。
お好きな所にお座りください」
迎えてくれた店主は、どうやら同年代。
当然だけど自分が通っていた頃の店主は先代で、
店主の顔には記憶が蘇らなかった。
女将がさらっとメニューを出してくれて、それを見て思い出した。
この「お可免寿し」では、「ちらし寿司」を「散らし」と書くのが決まりだった。
「えっっと、お酒を飲みたいのですが?」
「ウチは大関になりますけど、よろしいですか?」
「もちろん! 冷やはありますか」
「はい、ございます」
「では、それを。
あと、ここに来たらやっぱりちらしなので、『上散らし』をお願いします」
「やっぱりちらしを」と言った瞬間、店主と女将が微笑む。
それはつまり、古くからこの店を知ってる人だと認識できたのだろう。
あ・・
これ、良いかも。
大関と言えばあまりに有名なワンカップだが、
手軽に酔っ払った感を味わえる仕上げが見事だと感じていて
コスパ良く飲むのにコンビニで買って帰った事もよくあった。
そんなワンカップのイメージとはかけ離れた味わいで、
スッキリと飲みやすく、ワンカップの様な甘味は無く、
魚料理との相性が良さそうだ。
「写真、撮られるんですね?」
「えぇ、以前は仕事でも撮ってました。」
「R6をちょっと無理して買ったら、MarkⅡが出てショックだったんですよ」
「あら、でもR6って良いカメラですよ?」
なんと店主はカメラマンだったようで、
休日には撮影旅行に行く事もあるとのこと。
聞けばフィルム時代からやっていて、
トライXの100フィートを買って手巻きしていた、なんて話も出て、ビックリ。
「上散らし」2530円
何故メニューに「散らし」と書くかはきかなかったけど、
見事に切り身を散らして組み上げる姿は、美しいとしか言いようが無い。
見ただけで刺身で一杯の方が楽しかったかな・・・と思うくらい、
綺麗で美味そうな切り身が乗っていて、嬉しくなった。
うん、これは美味いわ!
切り身を取り上げて、
山葵を乗せて醤油をちょっとだけつけていただき、酒を楽しむ。
食べていく様は美しく無いけど、この食べ方が自分流。
そして、酒のアテとして食べてしまう切り身の下にあるのは伝統の「おぼろ」。
ヒラメと海老だけで作っていると聞いているけど、これがかなり美味い。
酢飯には以前食べた時の気配があって、
伝統の味わいを保存しつつアップグレードしてきた仕事を、感じた。
「こちらへ顔を出してたのは、かなり若い頃だったので、
ちらしを頼んで上を酒のアテにして、
最後はこの美味しいそぼろで酢飯を食べるってのがごちそうでした」
「おぼろは人気ありますね」
「美味しいです」
あぁ・・
夜来て、ゆっくり酒のみつつ摘まみたい。
そんな思いがわき上がる一時ではあったけど、
飛び込んだ時間が遅めだったので、早々に切り上げる事にする。
外はポツポツと雨。
選挙の行く先を示すかの様な空に、
開票速報をどこかで楽しみにしている自分を見つけて、笑った。
ごちそうさまでした。
何故メニューに「散らし」と書くかはきかなかったけど、
見事に切り身を散らして組み上げる姿は、美しいとしか言いようが無い。
見ただけで刺身で一杯の方が楽しかったかな・・・と思うくらい、
綺麗で美味そうな切り身が乗っていて、嬉しくなった。
うん、これは美味いわ!
切り身を取り上げて、
山葵を乗せて醤油をちょっとだけつけていただき、酒を楽しむ。
食べていく様は美しく無いけど、この食べ方が自分流。
そして、酒のアテとして食べてしまう切り身の下にあるのは伝統の「おぼろ」。
ヒラメと海老だけで作っていると聞いているけど、これがかなり美味い。
酢飯には以前食べた時の気配があって、
伝統の味わいを保存しつつアップグレードしてきた仕事を、感じた。
「こちらへ顔を出してたのは、かなり若い頃だったので、
ちらしを頼んで上を酒のアテにして、
最後はこの美味しいそぼろで酢飯を食べるってのがごちそうでした」
「おぼろは人気ありますね」
「美味しいです」
あぁ・・
夜来て、ゆっくり酒のみつつ摘まみたい。
そんな思いがわき上がる一時ではあったけど、
飛び込んだ時間が遅めだったので、早々に切り上げる事にする。
外はポツポツと雨。
選挙の行く先を示すかの様な空に、
開票速報をどこかで楽しみにしている自分を見つけて、笑った。
ごちそうさまでした。
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