多分二度と観られないだろう玉三郎の阿古屋を観るためだった。
玉三郎が「壇浦兜軍記」で阿古屋を演じたのを観たのは歌舞伎座だったが、
京都南座では玉三郎の出演はおろか、歌舞伎その物を観た事が無い。
その南座は、同一場所で興業を続けてきたという意味で日本最古。
建物は昭和4年に建て替えられているが、平成3年に改修され
平成8年に登録有形文化財になり、耐震補強大規模改修工事を経て今に至る。
だから、以前から興味があった劇場なのだが、
わざわざ観劇するだけに京都に行くのはさすがにね。
と言う事で
「今行かなければ、チャンスはもう無い」という事態にでもならないと
行く事は無いと思っていたのだけどね。
だが、ただじゃぁ転ばない。
どうせ行くなら・・な事を色々考えて、
今回は「食べてみたい物を食べる事」と「茅の輪くぐり」をやる事を考えた。
で・・・
まずは、諸説あるが元祖と言われる「にしんそば」を食べるのだ。
向かったのは「松葉」。
南座の隣にある店で、創業文久元年(1861年)と称しているが、
松葉を名乗ったのは明治15年。
同年に「にしんそば」を考案して元祖となったとHPに書いているが、
実際のところはどうだかわからない。
問題はかなり強気な価格設定。
にしんそばが1870円(税込)となっていて、
それだけでもチョイスから外れそうだが、元祖を名乗る物は一度は食べてみたい。
滅多に無いチャンスだし、ここでしか味わえないものなんだから食べるしかない。
最近はどこの料理も価格高騰なので、そう思えば納得できる・・・?
(それにしても高いと思うが)
とか言いつつ入店して、まずはビールだ!
元祖を食べる・・とか言いつつもクソ蒸し暑さに負けて
「冷やしにしんそば」(2090円:税込)を頼むことにする。
さらっとアテが出てきたのが嬉しいね。
「鰊のしぐれ煮」との事で、にしんそばにこのしぐれ煮を乗せたご飯を
セットにしたものもあるようだ。
お・・
確かにこのしぐれ煮、ご飯に合わせたら美味いかも。
実山椒が入ってるので如何にも京都って味わいに感じるが、
ビールに合うとは言い難い・・・な。
とは言え、ビールを飲みつつ摘まむのはやっぱり楽しい。
南座の開場までまだまだ時間があるので、慌てる事もない。
・・とか思ってたら、結構早いペースで「冷しにしんそば」が登場した。
あ・・・
思ったより、鰊が固い。
でも甘く煮てあって、結構楽しい。
蕎麦は・・・普通だね。
二八って感じがあってそれなりにクオリティは高く、
ちょっと固めな茹であがりになっている。
多分これは、
かけ汁に浸かってちょうど良くなる様にした物なのだろうね。
え〜っとつまり、かけ蕎麦な「にしんそば」を食べないと
本来の味はわからんって事?
どうする?
2杯食うか??
それ、食い切れるのか???
ビールも飲んじゃってるしなぁ・・・
でも、こんな高い蕎麦を食いに京都まで来るって事は
まず無いだろうから、食べちゃうか・・・
皆で108枚の蕎麦を喰らった時の事を考えれば、
いけると思う。
え〜〜〜っと
この薄い汁は何なんだ?
京都出身の同僚が、「関東のかけ汁はドブみたいな色で食欲が失せる」と
よく言ってたけど、京都の蕎麦屋のかけ汁がこの薄い色だったら、
そんな台詞も納得しなくちゃいけないのか?って感じだ。
あぁ、なるほど・・
これ美味いわ〜
この汁味わうだけで、価値あるわ〜〜
でも、鰊がデカい・・・
(蕎麦の下に隠れてた)
この汁、見た目ほど薄い味ではなく出汁がかなり効いてるバランスなので、
関東の蕎麦屋のものとは別物なんだけど、かなり美味い。
しかも鰊は汁を吸って徐々に柔らかくなっていき、
それに伴ってかけ汁の味が変わっていくのがまた面白いのだ。
う〜む、
ビール飲んじゃったのが効いてるわ。
これ、「抜き」にして楽しむって手はあったかな。
でも、蕎麦が汁に浸かってどうなるかを知りたかったし、
蕎麦が溶けていくから美味しいって可能性もあるじゃん?
ま・・・食べ過ぎ、っす。
京の夜は、ツマミと酒だけってパターンですな。
京都の南座は狭かった。
どうせなら・・と取った1階の桟敷席は、
歌舞伎座ほど目立つ感じでは無いものの、花道で見得を切られると
思いっ切り目立ちそうな場所である事には違いない。
玉三郎は70を超える事から体力が落ち出演が減っていて
2019年を最後に地方公演を停止している。
そして今日観る「壇浦兜軍記 阿古屋」は彼の当たり役の一つと言われ、
実際に琴、三味線、胡弓を奏でる難役中の難役とされる演目だ。
だから、その姿を観るチャンスは最後と考えての桟敷だったけど、
歌舞伎座より花道に近く舞台間口も狭いので、
演者との距離が想像以上に近くて素晴らしかった。
それにしても、苦しい。
食い過ぎ・・・
今日の宿はロイヤルパーク系列で、
ウェルカムドリンクは17時からアルコールも可となるので、
最悪はそこで飲んじゃって終了って事もあるかも知れない。
でも、
京都の地酒を飲みつつ鱧は食べたいんだよなぁ・・・
ごちそうさまでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿