当然の事とわかっていたけど、晩飯を外食する頻度も減ってくる。
考えてみれば、外食は生きていくために必要だったし、
仕事でのストレス発散のためにも美味しい物を食べ、
上質な酒をゆっくり飲むという時間が大切だったのだろう。
だから今は、無理をして外食するよりも日々の時間をゆったりと過ごす方が大切で、
自宅では食べられない物を食べたい時だけ外食に出る、ってパターンになった。
当然だけど、夜に外で食べる機会は大幅に減ってしまったワケだ。
だけど、お気に入りの店の中には、
夜しか営業していない店もある。
そしてそんな店にしかない味わいは
残念ながら自分では再現できないことが当たり前で、
だから敢えて予約を取って出かける、という事になってしまう。
「お久しぶりです。
今日って、席ありますか?」
「お元気でしたか?
今日は・・・7時半以降でしたらご用意できます」
「じゃぁ、8時前にはお伺いします」
今日は、お気に入りの店、横浜晋山へ。
少なくとも月に1回は訪れていたのに、
今は2ヶ月に1回行けば良いくらいになっていた。
それでもやっぱり、この店は落ち着ける。
そして、自分の大切な場所としての確認ができ、
同時に安らぎの時間がある事も理解できてしまう。
「お酒は繁升を。
あと、久しぶりなんで食べたかった鴨の白煮をお願いします。」
「焼酎はあまり飲まれませんよね?」
「原料によって・・ですけど、麦以外は避けてますね。
でも、夏に鹿児島へ行って飲んだ『魔王』は美味しかったかな。
あと『宝山』系とかも飲みましたけど、以前に比べて悪い酔い方しなかったので
焼酎ってのも良いかも知れませんね」
「もし良かったら、『森伊蔵』がありますよ?」
「あぁ・・・、じゃ、繁升が終わったらお願いします」
晋山の定番料理、「鴨の白煮」。
蕎麦屋なら鴨と酒って思ってしまう自分としては、
訪れて間も無い頃から、これを食べるか鴨せいろにするかで悩む一品だった。
こうやって葱と山葵を乗せて、巻いて食べるのが好きなんです。
で・・
これがまた酒に合う、と(^_^)
そしてもう一皿、「〆鰺刺し」をオーダー。
〆鯖は当たり前に食べてきたけど、〆鰺って初めて。
そして・・・
これは、美味いわ。
鰺も良質なんだけどシメ加減が絶妙で、
酒がスイスイ進んでしまう。
「森伊蔵を」
「は〜い」
あれ?
結構前に鹿児島で飲んだ時に感じた味わいと、かなり違うかも。
ちょっと上質なモルトにも似た気配があって、
芋が前面に出て来ないのに、味わいが深くて楽しい。
これって芋焼酎か?って思う位に穏やかで、
しかも、苦手な芋なのにすいすいと飲めてしまうのだ。
「こりゃ、人気があるワケですね」
「ウチは酒蔵と関係があるのでどうにか入手できますけど、
3Mの村尾はどうやっても入手できませんね」
「そう言えば大将、テキーラ以外は飲めないんでしたっけ?」
「ウィスキーは物によって大丈夫だったりしますね」
「へ〜、じゃ、麦の蒸留もいけるって事なのかな」
「どうでしょう。
でも最近は、テキーラやメスカルは結構飲めるようになりました。」
大将は全然酒が飲めない、というタイプだったのだが、
ある時お客さんとの付き合いでテキーラを飲んだら飲めてしまい、
今ではテキーラ通となってしまった。
アガベとかメスカルとかの話ができるのは、
かなり色々と飲んでいる証拠。
つまり、原材料とのマッチが悪く無ければ、
他の蒸留酒でもいけるはずなのだ。
「ひょっとしたら、ウィスキーのモルト(原酒)も飲めるかも知れませんね。
メスカルはスモーキーなフレーバーもあるから、アイラ系と相性が有るかも。
タイミングがあったら、私のストックを飲んでみませんか?」
「良いですね。是非誘ってください」
と言う事で後日、
モルトとの相性調査に連れ出す事にした。
「お蕎麦・・ですが、『かけ』を食べてないな、と」
「そうでしたっけ」
「えぇ、ここに来ると冷たい蕎麦を食べる事が専らで、
暖かいのは鴨南蛮ばっかりでした。」
「じゃぁ、是非」
「結構、アテでお腹いっぱいなので、蕎麦半分にしてもらって良いですか?」
そう、折角の十割。
せいろで食べないと勿体ないと思っていた。
だから、「鴨南蛮」や「花巻蕎麦」などの暖かい蕎麦は、
どうしても食べたいって思った時以外は、食べてこなかったのだ。
もちろん『かけ蕎麦』の魅力はよくわかってる。
そして晋山の汁の美味さもよく知ってるから、
『かけ蕎麦』の楽しさは相当だと思う。
でも、いざ頼もうと思うと・・・ね。
あ〜〜〜
これ、美味〜〜〜い!
やっぱ「かけ蕎麦」って、美味いわ。
しかも蕎麦が、想像以上に腰が残っていてまた楽しい。
これ、もっと早くに気づけば良かったな。
寿司屋の「干瓢巻き」の楽しさに通じるモノがあるわ。
と言う事で、
晋山で初めて芋焼酎を飲んだ夜は、これにてお開き。
ごちそうさまでした。
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