簡単に言えば関東は蒸し&焼き、関西は焼きのみ、なのだが、
この違いは食感と味わいに大きく影響する。
関東の鰻はフワフワとした食感で、初めて専門店で食べた時は
なんだか歯ごたえがないあっさりとしたもの、という認識があった。
だが、蒸さない関西の鰻を食べた時、
香ばしい皮の味わいや脂の美味さ、身の適度な歯ごたえの楽しさにやられてしまう。
以来、あるなら関西風の調理がされた鰻を食べる、というクセがついてしまった。
そんな関西風の鰻重がプレオープン故に割引で鰻重が食べられる・・
という案内があったので、馬車道にできた「うな蔵 神龍」へ行ってみた。
なんじゃこの店?
ってくらいのド派手な内装。
通されたカウンター席の床はガラス(アクリル?)で、
砂から龍が見える意匠が施されていた。
これって、所謂お高いお姉さんがいるクラブとかの店舗を居抜きで買って、
龍の意匠をあちこちに配置した?って感じだけど、とにかく落ち着かない。
カウンターには板前が1人いて、プレオープンで押し寄せた客のために
鰻を割いているのだけど、関西風なのに背開きに見えるんだなぁ・・・
プレオープンって、店員のトレーニング後に実地訓練的に問題点を確認する
リハーサルだったりするのだが、必要以上に配置された店員の動きは悪かった。
「お飲み物は?」とオーダーを聞いてくれても、
料理のオーダーは取らないで消えてしまう。
地焼きだから鰻を焼くのに大して時間がかからないのかもしれないが、
腹が減ってるので他のスタッフに料理のオーダーをして待っていた。
頼んだビールが出て乾いた喉を潤してホッと一息したところへ、
またもや店員が料理のオーダーを取りに来た。
プレオープンだから混乱してるのかな?・・・なんて考えたけど、
思えばこの時点で気付けば良かった。
既にオーダーしていた事を考え、オーダーがダブらないように
「さっき『神龍』をオーダーしましたよ」と返してしまったのだが・・・
「お待たせしました」
・・・と鰻が登場したが、料理が出されたのは後から入った客の前。
あれ?
こっちが先じゃないの?
明らかに早く入って、早くオーダーしたよね?
板前さん、貴方そこにいて私が早く着席したの見てたよね??
もしかしたら、オーダー通って無いのかな???
ま、プレオープンらしいっちゃぁらしい。
すかさず、カウンターの後ろにいるスタッフに
「すいません、私の方が先に入って先にオーダーしているのですけど、
後から入ったお客さんに料理が出て私には何も出てきませんが、
もしかしてオーダー通ってないってことありますか?」
と確認してみた。
「申し訳ありません、オーダーもう一度頂いてよろしいですか?」
はい、オーダー落ちでしたね。
カウンターにいる板前は客を意識してないって問題点、露わになって良かった、ね。
店員は謝ってくれたし焼き場に「大急ぎで大きいヤツを焼いて」と叫んでくれたけど、
料理を出してくれた板前は料理名と食べるための注意事項を説明するだけだった。
この板前さん、カウンターでの接客とか、した事ない人だったのかもね。
「神龍」(1尾)
この店では鰻の大きさで名前がついていて、
3/4尾サイズが「青龍」、1/2尾サイズが「赤龍」となっていた。
あ〜、なるほど。
確かに関西風の地焼きではあるね。
でもこのクソ暑い時期の鰻なので
地焼きでも脂の美味さは弱かった。
ただ、歯ごたえは楽しい。
そして、グランドオープン後に正価6千円を出す気になるか?
・・と問われたら、かなり悩む感じのサイズ&クオリティ。
タレは自分で好きなだけかけろ・・というスタイルで、
ご飯に予めかけないのはちょっと面白いけど、それが美味さに繋がるとは思わない。
山椒は粉とミルで実を挽いてかける2タイプが用意され、香りはかなり上質だった。
鰻に脂が乗ってくる11月とかにどんな鰻を出すかを確認してからにするけど、
今日と大差無いなら「濱新」(元町)で五本口の鰻重を5千円程度で食べた方が楽しい。
飲食店のプレオープンって、オペレーションと接客の向上、そして宣伝のため
とよく言われるけど、そのためにアンケートをとる、とかをしないと意味がない。
宣伝のためだったら接客のミスがあったら意味無いし、
SNS等で発信して欲しいなら写真を撮るな、とばかりに店前で構えてる店員の所作は
かなり残念に感じたのも事実。
まぁ、ミスを炙り出して味の良さを伝えれば良いと考えたのだろうけど、
4千円で提供頂いた地焼きの鰻は「凄い」と思わせるほどの魅力は・・・。
それにしても鰻、高くなりましたね。
ごちそうさまでした。
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